埃っぽい部屋の中

周りは薄暗く目がなれないと何も分からない

その中で小さく機械の耳障りな音が聞こえた

「了解」

一人の少年がじっと動かずダンボールの後ろから周囲をうかがう

耳に掛かっているのは小さな通信機

それに手を当てて、息を潜める

「・・・・まだだ」

聞こえてきたのは、男の声

相手側も小さく呟く様に声を出してた

狭く少しだけの明かり

じっと凝らす瞳

「そろそろだからな・・・」

また別の声。

カチャカチャっとプラスチック独特の音と共に声は聞こえた

そして何かをたたいている音

直ぐにパソコンのキーボードだと分かった

緊張がはしる

心臓の音と共に冷や汗が流れた

「やった」

「よし!今だ行け!!」

「「了解」」














mission.1-1


















それが合図の様にその場から飛び出す少年

薄暗いところから出てきた瞬間

光が視界を遮った

しかし、そんなことに構って入られない

自分の持っている足の速さで猛ダッシュで目的地まで走った

「ちょっと・・・いいか」

「・・・・何ですか?」

「会計間違ってるだろ」

「何言って!」

「最初から見てたからな」

隠れていた店を出て全力ダッシュで追いかけると

先に到着していた少年の先輩が女の子に話しかけていた

先越された!っと心で呟く少年

目の前で行われている攻防を一直線に見つつ、今度は目的地までゆっくりと歩き出した

「事務室、行こうか?」

女の子の肩にポンっと手を置くと、その肩はビクリと跳ね上がった

あーあ・・っと小さなため息を付きつつ少年は隣に居た先輩に目を向けた

向けられた瞳は、次の行動への指示を仰いでいた。

その視線を向けられた男は顎を小さく動かして少年に命令をした

怒っているわけでもなく無表情のままで

「い、行きますよ!だから離してください」

「万引きなんてしないほうがいい」

「店長さーん!!!!!!」

無表情の男が相手の心を射抜くような瞳で話しかけると同時に

肩を掴んでいる少年が肺いっぱいに空気を吸い込んで叫んだ

ギョッとして振るかえる通行人

それを気にせずに何度か「店長」っと叫んだ

「あ!はいはい」

出てきたのは人柄のよさそうな男性

少し慌てて三人の後ろの店内から出てきたところを見ると

彼が店長なのだろう

少年はその店長に女の子を引き渡すと耳に手を置き「任務完了」っと呟いた

「行くか」

「はい」

無表情だった男は少年の頭を叩くと微笑みながらポケットに手を入れながら歩き出した

何処と無く後姿は疲労感が漂っていた

なんだか、そんな後姿に少年は笑みが漏れた

「あ、あの・・・・あなた方は・・」

店長に手を引かれている女の子は立ち止まって、反対方向に歩いている二人に声を投げた

振り返ったのは少年

にっこりっと微笑んで自分を指差した

「僕達?僕達は・・・・」

早く行くぞ」

「あ。はい!待ってくださいよ、山さん!!」

山さんと呼ばれた男は女の子の呼びかけにも少年の声も無視して先に歩いてく

と呼ばれた少年は、しょうがないなぁ・・っと苦笑しながら女の子に微笑んだ

「僕らは、少年少女犯罪防止取り締まり体制警察庁刑事課特別実行委員会

略して少年課だよ」

「少年課・・・」

「君の顔を二度と見ない事を願っているよ」














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-あとがき-

なんだろう・・この連載・・



H17.0905