「さて、終わったー!!」

「まだ次があるから」

「・・・分かってますよ」

二人の頬に気持ちの良い風があたった

一仕事終えた後の開放感と達成感で少しの眠気も襲ってきた

そういう様子を全体的に醸し出しているに山口は苦笑した

今回の仕事は万引き犯を捕まえること。

いつもなら、万引きの取締り専門の人が行うのだが、人手が足りないらしい

それに任務を行ったスーパーが所長の知り合いとなれば拒否権はない

しかし、拒否権があったとしても本人たちは嫌とは言わない

いつも自分達が世話になっているスーパーということもあるが

『依頼』は絶対だから


























mission.1-2
























「まだ学生ならいいんですけどねー・・」

「成人してるとな・・言い訳とか理不尽な罵声とかあるからなぁ」

「精神的にとても嫌ですね」

「だよな」

徒歩で歩いて五分もしないうちに何処にでもありそうな高層ビルがあった

そのビルの中に普通に、何事も無く二人は入っていった

中も普通

何処にでもある企業のラウンジだった。

二人はプラスチックのボタンを押して上を見上げる

3.2.1.っと光が点滅しチャイムがなった

それと同時に表面がガラス張りの小さな部屋が現れた

二人は何も言わずエレベーターに乗り込むと

山口は最上階のボタンを押した

「たーかーいぃー・・・」

「あたり前だろ。最上階向かってるんだから」

「あ。なんか高井に会いたい」

ポツリポツリとした会話の中ではコツンっと窓にオデコを当てた

地上から離れて昇る箱

不思議ーっと訳の分からないことを思い見ていると

またチャイムが鳴り最上階に到着されたことがわかった。

山口は「開く」ボタンを押したままを先に行くように促す

お!紳士だ!!っと が発言すると、山口は少し照れたように笑いながら「開く」ボタンから手を離した

直ぐにしまろうとする扉を見て慌てて出る

山口は笑いながら、もう一度「開く」ボタンを押す

「ひどい!なんで離すんですか」

「変なこと言うからだろ!」

「だって・・。山さんって基本ジェントルマンですよね。かっこいいなぁ・・・」

「お前は・・・」

あきれを通り越して何だかむなしくなる山口

無駄に疲れる会話に見切りを付けて、さっさと足を進めた

長い廊下

その間には何個かのドア

コンクリートの廊下は普通のもの

天井には蛍光灯の光と遠くからこちらを絶えず追いかける機械の目

それを気にもせず一番奥の部屋を見すえながら

は山口に引っ切り無しに話し続けた









「失礼しまーす」

「失礼します」

たどり着いてノックをすると中から凛とした綺麗なソプラノが聞こえる

その声を聞くと山口がドアを開けて先ほどと同じようにを促した

は山口の行動に笑みを漏らすと素敵!っと一言、言って入った

「行動処理班C部隊、山口、 只今任務完了し、帰還致しました」

「しました!」

「お疲れ様」

中にいたのは黒髪のショートカットの綺麗な女性。

広い部屋の奥の大きな椅子に座り、机に肘を置いていた

二人はその前に来ると背筋を伸ばし軽くあごを引いて立った

「所長。椎名は・・」

「此処では社長ね?山口君」

「あ。すみません」

「お疲れ」

「あ!椎先輩!!」

「お疲れ、山口」

「はい。お疲れ様です!」

「椎名。お疲れ」

後ろのドアからまた一人、男が入ってきた

よりは背が高いが、山口よりは小さい男

しかし醸し出す雰囲気はだれよりも大きく見えた

「三人揃ったわね」

「玲。次の依頼あるんだろ?」

「あら。分かってるじゃない。新製品飲む?」

「いらないよ。そんな得体の知れないの

それより依頼くれない。朝から働きづめでこっちは疲れてるんだよ。

それに、こいつらも帰してやりたいんだから早くしてよね」

「椎先輩!!!」

得体の知れない缶を取り出して微笑む女性

ここの社長である西園寺玲にため息交じりの言葉で返す男、

椎名 翼は横に立つ山口圭介とをちらりと見つつ進言した

は椎名の心優しい発言に感動を覚えた

「仲間思いね。翼」

「まぁね」

「それじゃぁ次の依頼よ。翼のパソコンに送っておいたから隣の会議室で見るといいわ」

「分かった。行くぞ山口、

西園寺がにっこりと微笑むと椎名は二人を促して部屋を出た

後に続く二人

西園寺は三人の後姿に小さく頑張ってねっと呟いて笑った



































-あとがき-

万引きGメン?