思いたったら即吉日と言うだろう?
だから俺は武田の思いを胸に動きだした。
まずはフレンツェンってのは何処にあるかだ…
しかし俺の持っている知識は殆ど役に立ちそうも無い。
だから俺は地道に調べる事にした
「ただいま」
「お帰りなさいませ」
「あぁ…三枝さん…」
「お早いお帰りでしたね」
「最近遅かったからな」
「お父様も心配なさってますよ」
「父が?」
「はい」
「三枝さん。父は俺に心配なんてしませんよ」
「坊ちゃん・・・」
「平気です。それで父は?」
「奥様と外出なさいました」
「そうですか」
「お夕飯はいかが致しましょうか」
「友人と食べてきましたから今日は平気です」
「・・・・・かしこまりました」
「あ。三枝さん!珈琲を後で貰っても平気ですか」
「珈琲でございますね。厨房に言っておきます。いつものでよろしいですか」
「はい。それでお願いしますね」
「はい」
帰ってくるなりメイドの方々と父の執事の三枝さんが出迎えてくれる。
三枝さんは俺よりも数倍生きている初老の方で小さい時からお世話になっている。
今でこそ気楽な暮らしの両親だが俺がまだ幼かった時、両親共に家には居なかった。
父は青年実業家として母はその秘書として…しかも母は有名なジュエリストでもあるから出張が多く忙しさは半端無かった。
だから幼かった俺は三枝さんやメイドの皆さんに頼るしかなかった…
俺に兄妹は妹が二人居る。一つ年下の妹と随分と年の離れた妹。
うちは結構女系家族だと今更ながら思う
「お帰り兄貴」
「桜か」
「遅かったね」
「ちょっとな」
「ふぅん」
部屋の中でも短パンにTシャツの彼女は見るからに健康体で、俺とは正反対。
肌の色も髪の色まで違う。
何故同じ遺伝子を持つ母から産まれてもこうも違うのだろうか…不思議に思う。
「小梅はどうした?」
「寝てるよ。さっき奈那子さんが寝かせてた」
「そうか」
奈那子さんというのは三枝さんと同じで俺達が幼かった時からいるメイドの一人
二人とも独身でずっとの家に勤めてくれている。
「桜お嬢様。坊ちゃんは帰宅したばかりですので、お疲れでしょう。
お夕飯の時にお話しされては如何ですか?」
「あ!そうだよね!ごめん兄貴」
「三枝さん・・俺夕飯は・・」
「少しは食べないといけませんよ。坊ちゃんは唯でさえ肉付きは余り宜しくはないのですから」
「確かに!兄貴に私の肉あげたいよ!」
「桜・・・肉って・・・・」
「さ。お着替えを」
「あ。はい」
暫く玄関での立ち話は正直辛かった。
周りでずっと出迎えたままの方々にも悪いと思う。
何か一つに目が行くとそこから彼女は離れない性格をしているから。
三枝さんにはいつも感謝している。
目でお礼を言うと三枝さんは優しい微笑みで返してくれた。
「鞄お持ちします」
「平気ですよ」
「お着替を…」
「大丈夫ですから」
ありとあらゆる方向から聞こえてくるお手伝いさん達の言葉に丁寧に断りをいれていく。
まさかこの歳で着替を手伝って貰うわけにはいかないしな。
「夕飯になりましたら、呼んでいただけますか?」
「かしこまりました…失礼致ます」
「ご苦労様です」
いつも帰っていく皆さんが心なしか残念そうなのは何故だろうか・・・
全員が出て行くのを確認したあと俺は軽く息をついた
部屋の中に俺一人。
入って直ぐに付けたパソコンが既に立ち上がっていて見慣れた画面を写し出している。
俺は直ぐに作業に取り掛かった。
そうまずは個人データを見るために。
学校に直接的に見せて貰えないのであれば自分で調べれば良い。
カタカタとしたプラスチック音が部屋に響いた。
学校のメインコンピューターにアクセスをしてそこから調べる
ハッキングと言われればおしまいだが、生憎とこれはまだ調べ物の類だ。
しかしその調べものが簡単に出来てしまったら個人データが盗まれて詐欺が多発してしまう。
だから固い何十ものガードが掛かっている
ただ俺にとってはこれ位のガードは簡単なものだった
「…よし」
暫くガード外しの為にキーを叩き最後にenterを押すと求める小田切の個人データが出てくる。
こんな簡単に個人データが見られるのはまずいだろう…
ちょっと頭が良ければテストだって何だってこれでは簡単に盗まれる。
今度責任者に遠まわしに言っておいた方が良いかも知れない。
勿論俺がデータを見たなんて言わない。
足跡なんか残す事はしないからバレてしまうっという確率は低いけど。
「これって…」
小田切っという苗字が何処か引っ掛かると思っていたら。
相手は有力者の家柄でうちとも関係が深い。
小田切って名前なんて珍しいのだがら早く気付けば良かったと後悔した。
それに・・・・
「暴力沙汰が多い」
スクロールを回していくと徐々に小田切竜という男が理解できた。
データをメモリに入れる。
勿論足跡は残さない
優等生って言われるまでの知識は俺に別の事まで出来るようにさせたらしい
ただ勘違いしないで欲しいのは俺は自分の実力で全てやってきたという事だ
テストの範囲を盗むなど愚弄なことはしない
「あーにき?」
カチャリと行き成り入ってきた相手に驚いた
兄がこんなことしているところ見られたくはないから焦りが出た
しかしパソコンの向きは扉とは逆だ。
入ってきた妹にチラリと目線を向けると再度パソコンに目を向けて
一つ一つガードを直していき、終了させた
「なんだ?」
「もうすぐできるってさ!」
「分かった」
「なにしてんの?」
「学校の仕事」
「は!?もう直ぐ卒業なのに」
「色々とやらないといけない事があるんだ」
「ふぅん」
「あ。桜聞きたいことがあるんだが・・・」
「え?なに、なに!!兄貴が私に聞きたいなんて珍しいね」
「あー・・まぁな・・フレンツェンってクラブ何処にあるか分かるか?」
「フレンツェン・・知ってるけど・・・兄貴そんな所行くの?」
「いや。ちょっとな」
「そんなのパソコンで調べれば良いのに」
妹の言葉にはっとした。
小田切竜を調べるということだけで、俺は目の前の便利な機械で調べることをすっかり忘れていたらしい
何処か無駄骨を要した気がした
「たしかねぇ・・・・」
妹は俺の机の上にある適当な紙に、何処にあるのかを書いてくれた
何故妹がこういう場所を知っているのかは分からないが
出来れば心配させるような事はしていないで欲しいと願った
「で・・・・はい!これ」
「ありがとう」
「どういたしまして!」
小さな紙切れには女の子独特の丸文字で書いてある
それを引き出しにしまうと丁度良くノック音がドアから聞こえた
「お夕飯が出来ました」
「分かりました直ぐ行きます」
「はーい」
さて、下調は着いた。
次は実行に移ろうか・・・・
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-----あとがき----------
主人公小田切を知るの巻
何か意味があったのか?っと言われれば・・・無いかも(オイ!)
でも自分が書きたかったんで・・・・ははは
ハッキングとかした事あるわけが無いので全くデタラメです(苦笑)
不快に思われた方軽く流してやってください・・・・
夢小説なんで!!!(ご都合主義)
オリキャラ続出ですね〜。でも主人公一家も少しずつ明かさないといけないので・・・
オリキャラと同じ名前だったらすみません・・。
パッと浮かんだのがこの名前だったもので・・
一応設定も変更になってます。
次回は小田切といよいよ接触です!!
では此処までお読みいただいて有難う御座いました!!