!」

「武田」

「ごめん遅くなった」

「いや遅れてない俺が早く来ただけだから」

「え…あ。本当だ」

武田は軽く息付きながら自分の携帯で時間を確認していた

俺は待つ間読んでいた文庫本をパタンと閉じた

ふと視線を感じると武田がじーっと俺を凝視している

「なーんかさ。って似合うね」

それっと言いながら指さしたのは先程まで目を通していた文庫本。

タイトルは英語で文字しか書いていない武田達では絶対に読まなさそうな本だ

この間久し振りに私立の図書館を見に行ったら新しい本が出ていた

直ぐに読み終わりそうな厚さだったから買うまでも無いとその場で借りた

「どういう意味だ」

「いやさ。なんか眉目秀麗っての?」

俺の横を歩いている武田から楽しそうな笑い声と共に驚く言葉が出て来る。

眉目秀麗。よくそんな言葉知ってたなっと俺は意表を突かれた

まさか四文字熟語が出て来るとは思わなかった。

意外と頭良いのか、それとも意味も分からず使っているのかは分からないが隣で楽しそうに歩く相手に苦笑を漏らした

武田は不思議だと思う。彼がそう言うと嬉しい気持になるから

特別なことじゃない彼の言葉は自然と心に温かみをくれる様なそんな気がした

ただ、そう考えている自分に恥ずかしくなって眼鏡をあげた。そしたら更に武田が笑った

それ照れた時の癖っしょ?」

自分の目と目の間で眼鏡を上げる真似をしながら声を上げて笑う。

これは完全にからかっていると分かっていても言い返せない。

からかわれた事に対して恥じていたわけではないが、ただただ何となく更に恥ずかしくなった

「武田!」

「はは…ごめんごめん。取り合えずどっか入ろうぜ」

俺の腕をとって入っていったのはファーストフード店。

実は俺はあまりこういった場所には入った事がないし自ら入る事も無い。

だから正直戸惑った。店員の対応と微笑みに後ずさりしたくなった

それを見ていた武田は俺が出来ないのを察したのか横から身を乗り出し

テキパキと自分の分と俺の分を頼んで席に俺を誘導した

ってさ、お坊ちゃん?」

席に着いて一番最初に発した言葉はそれだった。

コップに挿してあるストローでジュースを飲みながら彼特有の微笑み

俺は武田に聞かれて頼んだホット珈琲で軽く火傷をしそうになった

「は?」

「いやさ…今日着てる服もなーんか高そうだし、さっきの見てるとこういう所入ったことないんじゃない?」

「違う…確かにあまりこういう所は入らないけど」

「やっぱね!」

「悪いか」

「悪くないって!大丈夫だって俺がこれからを知らない世界に連れ出すから」

ニヒヒっと笑う彼に俺は背中に悪感がはしった。

知らない世界。今の俺には彼らの言う知らない世界は多すぎる

籠の鳥・・・っという訳ではないが決して自分からも外には出ようとしていなかったから

そう考えると、なんとなくこの先の運命に危険を感じた

「…た、武田…相談って」

「あぁうん…あの…さ」

どーも歯切れ悪く頬を掻きながら言う武田。

表情は徐々に暗くなっていく。俺は机で手を組むと何も言わず彼を見つめた

「…竜、小田切竜分かるか?」

「ああ。今は登校するのを拒否されてるって…」

「ん〜・・・簡単に言えばそうなんだけど」

「隼人との喧嘩って先生は言っていたが」

「喧嘩は確にしたんだ…けどさ…俺が…俺が原因なんだ」

「武田が?」

「竜は裏切り者なんかじゃないんだ。」

「どういう事だ…?」

「俺が竜に相談したから・・・」

武田は小田切に相談してこうなってしまったと、事の真相を全て話してくれた

俺は武田の話しに目眛を覚えた。

まさか今の時代にそんな縄張り争い的な事が起こっているなんて思ってもみなかったから…

そう思うと本当に俺は周りを把握していない、駄目生徒会長だったんだと溜め息が出た

危険を冒しても周りを振り切ってでも視界を広げればよかったと軽い自己嫌悪が襲った

「どーした?」

「何でもない…」

「そっか…なんか嫌なんだよ俺のせいでこのまま竜と隼人が喧嘩したまま卒業すんの…特に隼人は誤解したままだしさ。

竜は俺の為にしてくれたって事分かってる・・・俺って都合良い奴かもしれない・・だけど・・・」

「武田・・・」

「俺達小学校から一緒のダチだからさ」

「…分かった」

「え?」

「俺が何か出来るって訳じゃないけど…俺がどーにかする」

「は!?何言ってんの!無理だよ!」

「俺だって3Dの仲間なんだろ?だったら同じ3Dの小田切とも話してみたいし」

…」

「まずは小田切に接触しないとな」

「なんか頑固だなぁ」

「隼人にも言われた」

「あ。やっぱり?」

「でも俺は頑固じゃないからな。欲深い奴だと言って欲しい」

「欲深いねぇ」

武田は後頭部に手を宛い緩い笑みを浮かべた

俺は相手に視線向け軽く肩を竦めた。初めて他人との距離を縮めた気がした

それから俺は武田に引っぱられる様に色々な所に行った

俺が入ったことの無い所。やったことの無いもの。

聞いたことしかないもの。見たことしかないもの。

触れて聞いて見て感じて・・・・

その時間が自由な感じがして俺は楽しくて仕方が無かった

だから俺は日が暮れるのも忘れていた。

小田切の件もあるけれど、今は武田と楽しく笑っていられる時間が本当に嬉しかった
















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-----------あとがき-----------
ってことでオリジナルのお話しでした。
難しいよねぇ・・・本当に・・
ってか・・・・どんな服を着てきたんだろうか・・・・・個人的にはシンプルisベスト(笑)
そして武田は主人公さんを何処に連れ出したのだろうか・・・・機会があったら書きたいな〜おまけとして。

はい。すみません・・・
主人公には最初に知ってて欲しかったからこんな展開にしました
一応ヤンクミが工事現場でバイトしている時期の学校休みの話しって感じかな。

(あ。背景有名な喫茶店?ですが設定的にファーストフードなら何処でもいいんで!!!)

次回も暫くオリジナルな感じですが、

なんとか小田切まで頑張ろうと思います!


此処までお読みいただいて有難う御座いました!!