本格的に中学生の入試が始まるため俺は大量の資料と毎日格闘しながら眠い日々を過ごしていた。
俺は重い足取りをそのままに職員室から出て3Dに向かった。
昇降口の階段を降りてすぐ目の端に写ったのは見覚えのある四人。
確実に矢吹達だ。
俺は何かあったかと思って頭を押さえた
そして急ぎ足で向かおうとした
「」
急いでいる時に誰だと思って振り返ったら
同じクラスの島田だった。
仲が良いわけではないが声をかけられたら無視というわけにはいかない。
「島田?」
彼は急いできたのか息を切らせている
何かあったのだろうか?
「あのさ・・言わないとって思ってたんだけど」
「どうかしたのか?」
「お前3Dの連中と仲良いだろ」
「え、あぁ」
まさか島田から3Dの話が出ると思わなかった。
島田だけと言うわけではないが学校内の全学年生徒が、3Dを疎ましく思っているから無い物として扱っている。
だから余計島田の様な奴からその言葉を聞いて呆気にとられた
島田も属に言う反3Dの一人
「悪いんだけどさ。礼言っといてくれないか」
「礼…?」
「昨日荒川高校の生徒にお金獲られそうになったんだよ」
「島田がか!?」
「うん」
「おまっ大丈夫だったのか!?」
「平気だったよ。何も獲られなかった」
「そっか」
恐ばる顔の島田とは対照的に俺は何もされていないという彼の言葉に安心した。
喝あげ。隼人たちがそれをしようとしたのを止めた記憶がある。
それはいつだったか・・
確か学校帰りの事で真面目そうな他校の生徒を捕まえていた。
慌てて止めたが、あの時は彼らから離れようかとも思った
もうしないっと言ってはいたが・・・・
「たださ…助けて貰ったんだよ」
「…誰に」
「3Dの矢吹達」
「は?」
まさか此処で矢吹達の名前が出てくるとは全くの予想外だった。
しかも助けたっという善良な行い。
俺は唯々呆気にとられるしかなかった
「助けて貰った。あいつらに…
俺が囲まれてるの逃がしてくれてさ」
「あいつら…」
「けどやっぱり恐かったからさ何も言わず逃げたんだよ…
後で考えたらマズイよなって思って後悔して…だけど直接言う事僕には出来ないから」
「…分かった言っておこう。あいつらだって悪い奴らではないからな
喧嘩売る言葉よりも怒鳴られるよりもその言葉は効くだろう」
「え?」
「あ。こっちの話だから気にしなくていい」
「そう、か…?本当、悪いんだけどさ。よろしくな」
「ああ」
「じゃ行くよ…3Dにはくれぐれも気を付けろよ」
「平気だ」
「まぁなら平気か。お前と居ると何か安心できるんだよな…じゃぁな!」
そういいながら校舎に戻っていく島田。
彼の言葉に苦笑を零した
自惚れかもしれないけれど心配してもらっているらしい
島田。大丈夫だ・・・彼らは悪い奴らではない
「・・・安心か」
嬉しい言葉だったが何だか騙しているような気分がして変な気持だった。
俺以上に真面目な彼に対する罪悪感が湧き残った。
忘れていたわけではないが島田の背を見送ると、急いで3Dに再度向かう
そうしたら教頭とすれ違った
「君」
「教頭…先生」
「君はまた3Dに行こうとしているのかね」
「はあ」
「悪い事は言わない。何度も言うがやめておきなさい…君には影響が悪すぎる」
「猿渡教頭。失礼ですが教頭先生が前にいらした白金でもこの様な生徒がいましたよね?」
「な、何故それを」
「気にしないで下さい。白金の生徒を知っているなら分かりませんか?
彼らは悩む時期にあります。もちろん私もですが…」
「君は…「失礼します…急いでいるので」
「君!」
もう何を言われても自分の道を貫き通したいと心で願った。
人に敷かれたレールの上は確に歩きやすいし迷う事もないが俺には獣道が必要だから。
それと白金については知り合いが居る
俺は彼が此処に赴任してきた時に聞いた。
『俺達高校時にさ猿渡って変な教頭いたんだよなぁ』
『猿渡・・・』
『なに?知ってんのかよ』
『黒銀に来た』
『マジ?』
『ああ』
『頑張れ』
『何で?』
『何と無く』
そんな会話をした覚えがある。
彼等も実際隼人達と昔はレベルは一緒だったらしい。
俺の逆らえない目をもった奴もいるし・・・・
…最強。
その言葉が似合うのではないだろうか
「あ。まだ携帯の事教えてない…まぁいいか」
そんな事考えながら歩行速度は緩めずに埃臭い廊下を歩く
そして後ろから入ると中は異様に静かだった
「おはよう」
「あ。おはようございます」
山口は俺に気付いて声をあげる
それぞれがばらばらに話してい居たやつらの視線が一瞬にして俺に集まる。
何故か緊張した
「SHRは終りだ」
彼女は言いながら教室を出ていく
しかしいつもと同じだと思っていた俺は大きな勘違いをしていたらしい
「隼人達はサボりか」
近くにいた高田に話しかけるとは雑誌から顔を挙げて苦笑した
「隼人が山口にタイマン申し込んだんだよ」
「タイマン?」
「一対一の勝負だよ喧嘩のな」
「何だよ…それ」
「でもあれはすげぇよな!」
「確に!まさかなぁ」
「あれって何だ」
「山口に隼人が教科書投げてさ。山口脅えも逃げもしないでその場から動かなかったんだよ。
度胸はあるよな」
「普通キャっとか女らしく言わねぇ?」
「あいつに女らしさ求めんなって」
口々に何があったかを話し始めて
俺には何が何だかさっぱり分からなかった。
一通り聞きながら周りに視線を向けると
竜が何をするわけでもなく座っていた
俺は収集が付かなくなってきた彼等から離れ竜の元まで行った
「竜?」
「」
「お前寂しい背中してるぞ」
「どういう意味だ」
「孤独を愛する美少年って言葉が良く似合う」
自分で言っていて何だか恥ずかしい言葉だが
竜を見ているとそう思ってしまい自然と言葉が出てきた。
そしたらやはり竜は眉を潜めた。
期待通りの反応に俺は少し笑ってしまった
「隼人が喧嘩を先生に申し込んだって」
「ああ。なに考えてんだよあいつ」
「矢吹の考えることはいまいち良く分からないな、俺も・・」
隼人が山口に喧嘩を申し込んだから今の状況を作り出している事に苦笑を漏らした。
あいつらは何か事を起こさないと気が済まないのだろうか。
彼なりのこれも一種のケジメなのだろうが、
それにしたってこのやり方はおかしいだろう。
一対一の勝負…男と女の体力を考えたって山口に勝敗はないに等しい。
もし仮に勝ったとしても周りが黙っていないだろう…ただこれは一般的な考え。
山口はあの白金に居たとも教えてもらった。
だとしたら隼人に勝ち目はない。
隼人は山口の強さに気付いたのだろうか?
実際俺は山口の強さを見たことはないからわからない。
A組の担任は犬塚だし3Dにはよく行くが担任の先生と何かをする事など稀だし。
数学も違う教師だから当たりもしない…
だから山口久美子という人物の動きは皆無に等しい位分からない・・・
それに隼人にはさっきの話を教えてはいない。
だとすれば個人で隼人は山口の強さっていうのに疑問もしくは興味を持ったということになる
隼人は本当に何を考えているのだろうか…
一人考察していると急に竜が立ち上がった。
3Dの中では椅子を引く音は小さな音だから、誰一人として気付いていない。
目の前の俺以外は。
「どうした?」
「じゃぁな」
「は?」
「隼人のタイマンまで十分時間あるしな。それまでどっかに行くから」
鞄を持って教室を出ていく彼を俺は慌てて追い掛けた
「何処に行くんだ」
「どっか」
「なんだよそれ」
「俺フケるわ」
「何当たり前に言ってるんだ」
「当たり前だからな」
「当たり前な訳あるか」
「だから真面目過ぎるんだよ」
「その言葉は聞き飽きた」
テンポの良い会話が続く中、マイペースに歩く竜を追い掛けた。
結局の所、俺も授業を受けない事には変わりない。
今日は登校日になっているから後で一応言い訳を考えなければいけない
そう思うと頭が痛くなる。
でも授業を抜け出すっという事自体
今まで俺には出来なかった。良い意味で変わったのか悪い意味で変わったのか、
とりあえず俺の中で小さく少しずつ何か変わり始めている事は確かだった
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---あとがき----
中途半端な感じ。
はい。元白金の人たち出てきましたね
言い訳は彼らの記憶が曖昧だということっす・・
ただ、これから出て来るかは完全に未定です。
ドラマの様に出てこない可能性大です。
気分しだいですよ(オイオイ)
一応矛盾点や疑問を発見していただけたらご連絡下さい。
お答えしたいとおもいます。
此処までお読みいただき本当に有難う御座いました。