「小田切?」
いつもの様に自分のクラスには行かず廃校舎の3Dに向かおうとしていたとき
目の前に見知った相手が歩いていた。
俺は目的地は同じだと思い後姿に声を掛けた。
「学校…来たんだな」
昨日は気まぐれで来たのかも知れないっという思いがあったから凄く嬉しかった。
だからかもしれない振り返った相手に自然と笑みを向けた
「」
「3D行くんだろう一緒に行かないか?」
小走りで彼の元まで来ると彼は俺を見つめたまま何かを考えている風だった。
彼は表情を読み取る事があまりできないと俺は思う。
本当に冷静沈着って言葉が合うのではないだろうか…
だからこそ俺は彼に親しみを覚えるのだが…
「おだぎ「竜」
「は?」
「竜って呼べよ俺も名前で呼ぶから」
真っ直ぐと小田切は俺の瞳を見ていった。
3Dの中で俺が名前呼びをしているのは隼人のみ。
何か特別な事があるわけではないし名字読みにポリシーがあるわけではない。
だけど何処か一歩置いてしまう自分がいる。
隼人は彼の目に逆らえず呼んでいたら慣れてしまっただけの話し。
だから小田切の言葉に正直迷った。
でも自分を信じて貰うにはそうではいけないと思う。
俺は武田達には悪いが彼をきちんと名前で呼ぼうと思った
「おだぎ…あっと・・・りゅう?竜・・」
何度呼んでも慣れない
下を向きながら練習するように何回か呟き言い終わった後勢い良く頭をあげた。
そしたら目に映ったものは彼の笑い顔だった。
喉を鳴らした笑み。
俺は何かやらかしたらしい…
恥ずかしくなってずれてもいない眼鏡をあげた
「竜…」
「そんな真面目に練習してんじゃねーよ」
頭に軽い感覚を受ける竜が俺の頭を叩いていた。
これで分かった俺の頭は叩きやすい位置にあるらしい。
覚えておこう
「行こうぜ」
「あ、ああ」
ふに落ちないけれど先行く彼を追い掛ける。
ふと腕計塔を見ると時間は過ぎていた…
腕時計を見て一瞬止まる。
これは竜が遅刻になってしまう。
焦りを感じて前にいる竜の腕を取った
「遅れている」
「別にいいじゃん遅刻位」
「良いわけないだろう!」
「真面目過ぎるんだよ」
「何とでも言ってくれ」
急かすように歩く俺とゆっくり歩く竜。何だか噛み合っていない二人の歩行に焦りを感じた。
なんでこうも竜はマイペースなんだよ…
いや竜がっというか3Dがっと言った方が正しいのかもしれない。
何だか最近妙に俺は溜め息が増えたと思う
3Dの教室に着いた時にはやはりSHRは始まっていて頭を押さえたくなった
しかも隼人達の竜に対する言葉がもろに聞こえる…
だから何度も言うがお前達は何故そこまで竜の事を言うんだ。
まだ誤解が解けていないのだから当たり前の事なのかもしが
理由を知っている俺からすればイジメにしか見えないからな…
ガラリと開けた扉。
竜の後ろからでも分かる静まり返った教室。気にせず歩いていく竜。
竜も竜で何故正直に言わないのか謎だ
「竜!おはよう」
唯一人教室内から聞こえた武田の声に少し心が暖かくなった気がした
「小田切。三回遅刻したら一日欠席扱いだからね
私はお前を特別扱いするつもりはないから。そのつもりでね」
山口の声でなんだか入って良いものか迷った
竜は一緒に来たから俺が居るのを知っている。
何と無く感じる視線は竜だろうか
山口の声が終った時、俺は中に入った
「はよ! 」
「おせぇぞ!」
…いつもながら騒がしい挨拶をありがとう
口々に聞こえる挨拶と共にやはり竜の視線
たぶん何で入って来なかったと言いたいのだろう。
それについては俺は此処のクラスの生徒ではないから。
いくら仲間と言えど限度はあるし自粛しなければならない事は多いからだ。
「入ってよろしかったですか?」
俺を切欠に騒ぎ出した奴らを後ろに俺は山口に訪ねた。
しかし答えたのは隼人。
近寄ってきて俺の首に腕を回している
いつもながら極度のスキンシップをありがとう…
まぁ正直に言えば有難くも何ともないんだが
「何でコイツの許可とんなきゃなんねーんだよ」
「担任だからだろう」
「先公なんてウザくない?」
「ウザくない。ほら離せよ」
「やだね」
「隼人」
後ろから視線が痛いほ伝わる。
俺は目立つことは好きじゃない。
義務ならばすることもあるかも知れないが基本的に自分からわざわざ目立つなんて事はありえない。
絶対に隼人の性格とは真逆なのではないだろうか
「いいぞ!SHRは終りだしな。号令…は居ないよな…起立礼!」
山口は機嫌がいいのかよそよそしい感じがした。
今日何かあったのだろうか?
残ったのは異様な雰囲気。
俺は一つ溜め息付いて隼人に引きずられるように後ろの席に行った
それをまた切欠に思い思いに好きなことをしだした3Dの連中
何だか竜は居ないものとして扱われているように
その竜は俺が知らない内に何処かに行ってしまっていた
「竜・・・・・・」
仲間同士離れあった心が俺には何処か痛く辛かった
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----あとがき--------
二話目に突入です。
長かった・・・。
二話目は短いと思われると思います!
では此処までお読み頂いてありがとうございました。