小田切が来るか何て分からないだけど俺の言葉と思いは無駄にして欲しくない
「鳴ってるぜ」
俺の携帯がD組の教室の中で小さく響いた
いつもならマナーモードでしかもサイレントモードに学校ではしてるから
隣に居た日向が俺に言うまで全く気付かなかった…
っとは言っても騒がしい着信音ではなく単調の音
「お前色気ねぇなぁ」
日向は苦笑いをしながら俺が慌てて音を切るのを見ている。
「別に音なんて何でもいいと思うんだが」
「甘いよ君甘すぎるよ」
「隼人」
「着メロでセンスが問われる時代なんだって」
「は?」
「確に最近じゃ着歌もあるしな」
「土屋俺を扇ぐな」
「ツッチーの言う通り!」
「例えば電車で着メロが鳴る。大体電車は静かだろ?満員電車じゃない限りな。
周りには音楽が聞こえる…な?皆の注目の的なわけ。しかも考えることはあの曲は!?って事」
「隼人根本的に乗車マナーが間違ってる… マナーモードが当たり前だろ」
「君!だから君は大仏君と言われるんだ」
「誰が大仏だ」
「考えが固いんだよ」
「意味不明」
「聞け!俺の渾身の音を」
日向が自分の携帯を掲げて鳴らす。
鳴り出した音は俺には全く理解できない音だった。
3Dは一丸になっておー!だのすげぇだのと騒いでいる
俺は一言馬鹿だと思った
「。携帯鳴ったのに見なくていーのかよ」
坂口の言葉にはっとする。すっかり忘れていた
俺の携帯が鳴ったから今の状況を作り出している事に…
銀の二つ折り携帯を小さなプラスチック音と共に開ける
周りは隼人コールをしていて気付かない
次は隼人の番なんだろう
俺はその盛り上がりには混ざらず、あまり慣れない携帯を動かした
mail
右上にメールのマークがあり
あまり使わない俺でも分かった。
そう携帯はあまり使ったことがない使うとしても
急用の用件を伝えるのみでネット接続なんてしたこともない。
むしろその類ならパソコンを利用するからだ。
俺の鞄にはノートも入ってるからな、だから更に使わない。
しかしメール機能はこいつら3Dと仲良くなったその日から頻繁に使うようになった。
最初は使わないから戸惑ったが
彼等のメール件数と共に着々と出来るようにはなったのは自分自身驚いている
とは言っても彼等の打つ早さには目を見張る物があるし到底追い付けないが。
俺はチラリと盛り上がっている奴らを盗み見た
何故にあれだけで盛り上がれるのか俺には理解できない
そんなことを思いまた携帯に目線を移そうとしたら土屋の扇子が俺の顎を上げた
「聞いてたか」
「いや…全く」
「うおーい聞いてろよ俺達の魂の篭った音を!」
「馬鹿か」
土屋が扇子を俺から離しパタパタと扇いでいる
俺は土屋にそっけなく返し携帯に目線を移した。
更に盛り上がりは増していて全員で合奏したり着歌を合唱したりしている
何だかなぁっと思いながら受信箱を見ると知らないアドレス
一瞬迷惑メールかと思ったが俺のアドレスは一部しかしらないだから見ることにした
件名…へ
へ?誰なんだ
…今から行く…
もしかして…
「?」
土屋が俺の肩に手を置いて声を掛ける
しかし俺は今見たメールに気が向いていて土屋の言葉は耳から耳へと流れていた
俺のアドレスを知っていてこういうメールを送るのは一人しか居ない
前に渡した紙。自分の携帯のアドレス
「小田切…竜」
俺はそれを言葉にした時行かなくては行けない気がした。
だから体は勝手に動いていた。
ガタリとが椅子を鳴らして立ち上がった。
盛り上がっていた3Dはピタリと静かになりを見ている
シンっと静まり返った時が小さく呟いた。
その言葉に矢吹の表情が曇り武田は驚いた様子で見ている。
呟いた当人は携帯をポケットにしまいながら後ろの扉から焦った様子で出ていく。
彼の行動に誰もが唖然として誰もが理解出来なかった
「竜?」
「どーいう事だよ」
「しらねぇよ」
出ていった後、口々に疑問符を並べる。
その中で矢吹はじっと押し黙ったままが出ていった方向を見ていた
「はや・・・と?」
武田は矢吹の異様な雰囲気に恐る恐る声をだした。
しかし返答はない。
武田自身はの行動に理解は出来ていた。
自分が撒いた種。
武田は分かっていても扉を睨み付ける矢吹をただ見ているしかなかった
「あいつ」
グッと拳を握り締めると矢吹は走り出した。
目的地はが向かう場所。
察しは付く裏切り者が学校にくると言うことが・・・
走りだしたは良いが実際に小田切が学校に来ているか何か分からない。
何処に来るのかもいつ来るのかもまったく考えていなかった。
俺にして本当に珍しい考えのない行動
ただ気付いた時には体が動いていたし本能に従ったまでだ。
彼の気まぐれなメールかもしれないと
一抹の不安と期待が混ぜ合った不安定な気持が駆り立てた。
出たばかりは光に慣れず目に眩しい光が眼球を刺激する。
うわっと思いながら数秒瞼を閉じた
数秒してゆっくりと瞼を開けると目の前に歩いてくる生徒が一人
その生徒に目を見開いた。
俺の待っていた相手
何やら山口も来ているらしく何か話している
何を話しているのだろうか…
なんと無しに気になってはみたものの俺には関係ない。
それに次の瞬間どうでも良くなった。
小田切が俺に気付き目が合うと小さく微笑んだ気がしたから。
来てくれた嬉しさと微笑んでくれた嬉しさが心に広がった
俺は歩いてくる彼に声をかけようとして一歩踏み出した。
ドタバタと聞こえてくる足音を聞くまでは。
振り返ると3Dの連中。
煩い教頭が騒いでいる。
その間に3Dが俺の元まで来る。
けれど俺は目先の小田切の方が気になって近くまで来た小田切に話しかけようとした。
しかし口を開こうとした時水沢に引き寄せられて出来なくなった。
もともと体格は良い方ではないから悔しいが水沢の腕の中にすっぽり収まってしまう。
だから始めに話しかけたのは俺ではなく隼人だった
「久しぶりぃ・・ってかなに今更。俺さお前のこと許してないから」
隼人は小田切を拳で殴った。
初めて人を殴るのを見た気がする。
息が奥に引っ込み声が出せなかった。
そこから小田切が殴り返す。
徐々に収集が付かなくなる中、俺は止めに行かないようになのか水沢に後ろから捕まったままだ。
「水沢離せ」
「無理」
即答で言われた。
しかも何だってこんなに力が強いんだ…
俺だって男なのに…
少し虚しくなりながら一連の行動をただ見ているしか出来なかった。
きっとあの二人の乱闘は俺には止められない気がしたから
そしたら上から予想だにもしていなかったものが振ってきた
バシャ
水…
殴り合いも止まり全員が振ってきた方向を見上げたそしたら
「山口…先生」
見上げた先に居たのは3D担任山口久美子。
隼人の怒声など完全に無視をして一人で熱く語っている。
俺は溜め息を漏らした
「?」
「お前らいいかげんにしろよ!」
俺が普段はあまり出さない声量で叫ぶと口々に切れた声を上げていた3Dが全員こっちをみた。
俺は驚いて力の抜けている水沢の腕をポンっと押して濡れた髪を掻き上げた
「お前らは人の迷惑も考えない聞けない猿か。頭脳は子供で体は大人か!?」
「・・てめぇなに言って!」
「悪いがこれなら3Dの仲間になる気はない」
俺は全員に目線をくばせ一言言い放つと小田切をみた。
小田切も驚いた顔をしているが関係ない。
口の端を持ち上げて小田切に笑い掛けると俺は冷たい上着を何かすべく一旦教室に足を向けた
「まったくあいつらは…」
が去った後矢吹達は唖然としたままだった
「やり合う気失せた」
「俺も」
矢吹は息を吐きながらのあとを追い掛けた。
さっきから追い掛けてばかりだっと矢吹は密かに心で思った
「 !」
後ろから呼ばれたので誰に呼ばれたか分かっていたから振り返らずに足を進ようとした
しかしその前におもいっきり抱き締められた。
濡れた学ランが肌に張り付いて冷たい
「離せよ」
「やだ」
「なんなんだ」
「悪かった」
まさか隼人の口から謝罪する言葉が出てくるとは思っていなかった
「なら小田切といがみあうのは辞めろ」
「…」
隼人の立場は分からない
しかし何と無く気持は分かる。
彼が俺の言葉に首を縦に振れないことぐらい予想は出来ていた。
だから溜め息を付いた
「徒党を組む女子じゃないんだケジメは付けろよ」
俺は小さく反応する隼人を押し退けて教室に戻った。
後から矢吹が付いてくる。
俺は濡れた眼鏡と学ランを脱ぎながら髪を掻き上げた
next→division01
---あとがき-----
うわぁ・・・中途半端・・。
何度も視点が変わってるしね
因みに此処あまりドラマ繰り返して見ないで書きました・・・うる覚えですみません;;
特にヤンクミと小田切の所・・・(苦笑)
でも、これでようやく一話終了です!!
長!!!!!
2話のところは多分短いかと・・・思います(オイ)
では此処まで読んで頂き誠に有難う御座いました!
―おまけ―
「ってさ眼鏡取った方が絶対良いと思う」
「は?」
「眼鏡あっても知的美人だと思うぜ?」
「日向意味が分からないんだが」
「そうそう学ラン脱いでシャツ一枚何か色気感じるんだよな」
「男に言う台詞ではないぞ土屋」
「って…」
「何が言いたいんだよ隼人・・・・」