求めるものは一つだけ
それは君と居る幸せ
I wish you every happiness!
いつ出会ったのか、いつ好きになったのか
今はそんなことどうでもいい
ずっと幸せが欲しかった
隣に居たの腕を引っ張り、頭を撫でてやる。
子ども扱いされたと思ったのか、がムッとした表情を見せた。
すかさずぎゅっと強く抱きしめてやると、今度は頬を赤らめた。
「どした?顔赤らめて」
「分かってるクセに・・・・」
「さぁな〜」
ぶすくれる姿が可愛くて、更に力を込める。
自分の腕の中からちょこんと覗くの手が、まるで子犬の手みたいで頬が緩んだ。
いや、それ以前に腕の中にが居てるっていう事実に顔が微笑む。
「もーいいよ・・・イノリの馬鹿・・・」
諦めた口ぶりと同時に、俺に体を預けてきた。
髪から漂ってきた香りに一瞬ドキッとする。
「なんかいい匂いがする」
「そう?香の匂いかな・・・藤姫様と神子様にこの間貰ったの」
「ふぅん」
そんな何気ない会話が、変に嬉しくて仕方がない。
腕の中でくつろいでるが、本当に愛しくて、愛しくて仕方ない。
俺は今とても幸せな気分になった。
「〜・・」
「なに〜?」
二人して間延びした口調。
貴族の娘であるの家の縁側に俺達は座っている
抱きしめたときに俺の股の所にひっぱったから、はそこにそのままちょこんと座っている
綺麗な黒い髪から欲情しそうなくらい良い香りがして俺を惑わす
「お前幸せ?」
「いきなりどうしたの?」
肩に顎を置いてきゅっと抱きしめるとポンポンっと頭を叩かれた
さっきとなんか逆だし・・・
「幸せか?」
「ん〜・・・」
え・・ちょっと待てよ。
そこは考えるところなのか?
俺はサァっと血の気が引きそうになった
訳も無く胸が締め付けられた。
いや・・・自分自身わけは分かってるのだと思う
ふとが離れた。
寂しくなっていく体温を感じながらの行動を見つめた
「・・・・」
は何も言わずに部屋の中に入っていく
どこか何かで殴られたような感覚もした。
俺だけが幸せだったのだろうか・・・・
「あのね・・・」
――――やめろ・・・
「これ・・」
――――――俺からもう何も奪わないでくれ!!
「うるさい!!」
「え・・・・・・」
瞬間自分で何を言ったのか分からなくなった
頭が真っ白になった。
顔をあげてを見ると驚いて目を見張って俺をみるの姿
綺麗な瞳が泪でいっぱいになりながら、じっと俺を見ていた
俺は居た堪れなくなって立ち上がって駆け出した
「まっ・・・・・」
「離せよ!!」
走り出した俺をが重い着物を引きずりながら腕を掴んだ
振りほどこうと渾身の力を込めたけどは俺を背中から抱きしめて出来なくなった
「お願い・・・ま・・ってぇ」
が困惑しながら泣いているのが分かった
罪悪感で胸がいっぱいになる。
いきなり背中の感覚が離れたと思って振り返った
「・・・・」
振り返ったときは下で座り込んでいた・・・
その時一緒に目に映ったものに目を疑った
「しろ・・・むく・・・・・」
綺麗な白い着物が握り締められていた
凄く高価なものなんだと思う。それをクシャクシャにして泣いていた
罪悪感が俺を満たしていく・・・
「あのね・・あのね・・・これ・・これ」
「誰とだ・・・」
「え?」
「誰かと一緒になるんだろ!!!」
言うつもりはなかった。を悲しませるつもりなんかなかったのに
「ち・・・がうよぉ・・・・」
「何言って・・・」
「これは・・・これわぁ・・・イノリと・・イノリのために」
たどたどしい口調で俺に泪でいっぱいの顔をむけて話す
泣き顔も愛しいと心で思う
「イノリが好き・・・ひぃっく・・私は幸せなの!!イ・・ノリが・・っ・・・好きなの!!」
瞬間頬がポーッと熱くなったのを感じた
愛しい彼女が愛しい。
「・・・・」
きょとんと見つめてくるの丸い瞳が、俺の心を裸にしていく。
ふっくらとした唇が、嬉しい言葉を紡ぎ出した。
「私・・イノリが傍にいてくれるから幸せだよ・・・」
今気付いた。
をいつも包んでてやりたい。
嬉しそうな顔を、笑顔をいつも見ていたい
これが俺の幸せ。これが求めていた幸せ
目の前のの肩を抱いて、静かに引き寄せる。
そして背中に手を回してやって、そっと囁いた。
―――――――――俺も・・・幸せだよ
---あとがき-----
甘い!!!うぎゃー!!!
すみません!すみません!!!!
えーっとまたもジャンル違いますが遙時です;
しかもイノリんです。
結構書けるものだなぁっと感心しました・・・(それよりも何よりもイノリの声優さんが頭から離れない・・)
えーっと・・「こどもべや」の竜ちゃんに捧げます!!
ちょっとした私信→立原さんよ・・・これで野望達成されるかな?・・お主も悪よのぅ(壊)