「「練習試合?」」

2人の声が見事にハモる。

事の始まりを言い出した風は疑問を素直にぶつけてきた二人に苦笑を漏らした

「いい機会だろ。成立して暫く立つんだ」

「…何処と」


後ろで煩く騒いでいる翔は一先ずほっておいて、

冷静に聞いてくるに風は笑いかけた

「名門だ」

「武蔵森か」

即答。

確に名門と言えば武蔵森が出てくるが考えるそぶりの一つも見てみたい。

「武蔵森ー!?無理無理絶対無理だし」

やってみないと分からないだろっと心で思う。

しかし言ったところで目の前の少年は口の減らない男だ、

いっそう騒がしくなるだけ。

そう思うと颯は溜め息だけて終えた

「もう、あちらとは連絡済みだ。異議はないな」

そんな脅しの目をされたら嫌だとは口が避けても言えない

特に主要メンバー以外はだ。

均等の取れたあの三人は、年齢で言っても技術でも自分達より遥か上なんだからと、割りきって部員は考えた。

「取り合えず日取りは、追って連絡する。以上だ」

一人の合図で全員が挨拶をする。

これも無いようである上下関係の表れ。

しかし悪い上下関係ではない。

むしろ良い意味で全員が教えてくれた感謝と尊敬を込めていつもしている。

始まったばかりの羽音サッカー部に形式なんて一切ない。

自分達がこれから作る物だからこそ、この挨拶の儀式はちゃんとしておきたいっと初めに全員で提案した。












颯から日取りの報告があったあと、あっという間に日にちは過ぎていった。

練習は怠らない。

人数が少ない分確実に勝てる戦法を取らなくてはならない。

翔流当たって砕けろでは意味がない砕けてしまっては基も子もない。

だからこそ練習は他よりも二倍以上でやっている。

そう、だれも知らない努力をしている。

金持ちのボンボンと学校だけ見て言われないように。

自分達の実力というのを信じている。

信じているからこそ二人のコーチにも安心してついていける。

そういう気持が彼等を強くしていた

、緊張してる?」

翔がいつもの元気は何処へいったやら小さく声を掛けてきた

「してる」

はクリップボードを睨み付けながら返事を返した。

なにせ初めての試合である。

各人個々で試合は経験しているだろうが羽音学園としては

此が初めてであり歴史と結果を残す重大な物でもある。

だからそれだけ全てに集中して熱心にもなる

「俺が出るわけじゃねぇーのに緊張する」

ハハハっと乾いた笑いがやけに耳に残る

「あいつらなら、平気だ」

「あったりまえだろ」

「信じてるから」

「ん。」

武蔵森のサッカーグラウンドでウォーミングをしている部員を見ながらの表情筋は微動した

「いいよなぁーあいつら」

「・・?・・・試合がか」

「それもあるけどさ。違うの!」

「引退は仕方ないだろ」

「だから違うって!!」

「・・・・なに」

「だってさに笑い掛けて貰えるなんてずるいじゃん!」

突拍子もない翔の言葉には初め意味が分からずにいたが、

羨ましんだよっと言う声を聞いて目を見開いた

「颯?」

「ん?」

「いつから此処に」

「翔の緊張してる〜辺りからかな」

最初からじゃんと突っ込もうとしたが、軽く虚しくなる。

彼に言ったところで微笑みで返されるに決まっている

その微笑が何を意図しているのか何となく分かるから無駄なことはしない






「羨ましい何でだよ」

の質問の矛先は翔に向いた

翔はギクリとしたが苦笑気味に答えた

「だってさ、出会ってから結構立つけど、あんまり笑わないだろ」

それに驚いたのは

羨ましいというのは何故かというのはもっと技術面か何か大きな事だと思ったから。

軽く拍子抜け

「笑うよ」

「希少価値なのー」

この時は少しだけだの方が身長があり、翔は自然と上目使いになった

「希少価値なんて言葉よく知ってたな」

ほんの少し困っていたに助け舟を出したのは颯。

は軽く安堵した

「ほら、用意しよ」

そのまま談笑話はお開きになり、試合準備に取り掛かった。




「よろしくお願いします」

颯達は部長ではないので挨拶は現部長とマネージャーのとで二人。

お互い握手してお互いに微笑んで。

勿論には微笑のほの字もないが…

「お互い頑張りましょう」

確実に相手には見下されていた。

きっと財力だけでの関係であちらとこちらの試合がなされているのであろう。

だからサッカーとしての実力はナメられている。

心の中では最悪と呟いた隣にいる部長も気付いたのだろうを見てポンポンと頭を叩いた


「頑張ろう」










その後試合は順調に行われた。

結果は結局惨敗。

当たり前と言えば当たり前だが、簡単に試合は終らないほど羽音は接戦に持ち込んだ。

初めての試合で悔しい思いをして、もしかしたら良かったのかもしれないとは心なしか思った。

その悔しさが今後の士気上昇にも繋がるからだ

「すみません…」

誰かがを呼び止めた。

周りに人はいなく直ぐに自分が呼び止められたと分かったは振り向く

「…これ」

渡されたのはテーピング用のテープ。

どうやら持っていた籠の山盛りの道具の中から落ちていたらしい。

受け取って籠に入れなおして軽く会釈するとその拍子に総崩れした

崩れて散らばったものを苦笑気味にテープを拾った男は拾い始めて言った

「持ちますよ」

「いいよ」

「女だからというわけじゃないけど流石に持ちすぎだと思うよ」


初対面に女と分かってもらえたのは初めてに近いではあるが、

そんな事本人は全く理解はしていない。

むしろ持ちすぎだと怒られた事に耳が集中した

「平気だ」

「いいから」

そういってヒョイツと籠を持ち上げてしまう、まだ幼さを残す彼に

は眉を寄せて見上げた。

「俺は笠井って言うだけど君は?」

「…」

「何スネてんの」

「別に」

「ふぅん…で、名前」

「…」

「やっぱりスネてる」

・・。」

笠井は手の甲を口許に当てておかしそうに笑った

は脇に抱えていたクリップボードを持ち直して何処と無く一枚上手の相手に苦虫を噛み潰した。

さんって何年?」

「二年」

「年上か・・そんな感じしない・・」

「失礼な奴」

「誉め言葉?」

「イヤミ」

「クッッ」

「笑うな」

「面白い。」

何処となく良い雰囲気と心地良い風が彼等を包んだ。

一言で言い表すなら落ち着く。

今まで余り味わったことのない居心地の良さを感じた。

「羽音強いじゃないですか」

「今更敬語」

「一応年上だと知ったので」

「そういのいらない」

「ケジメって奴ですよ」

「ケジメね…」

「そうです。で、羽音強いじゃないですか。

まさか金持ち学校だから建前で相手した一軍にあそこまで苦戦させるとは…

俺正直驚きましたよ」

「やはり建前か…」

「気にしてますね」

「金目当てと言うのが気に食わない」

「俺もそれは思います」

サァ・・・と心地の良い秋風が二人の頬を撫ぜ髪をなびかせる

横にいた笠井はクリップボードを抱えた一人にドキリとした。

それを振り払うかの様に会話の内容を引き出す

「俺2軍なんです」

咄嗟に出た言葉にはっとする

きっと今の自分顔は笑えていなく無様な表情だろう。

自分で繋いだ会話に後からとても後悔をした

しかし言葉がするすると喉から出てくる

「2軍ね」

「・・まだ1年ですし仕方ないです。

それに雑用で今日居ない3軍よりはマシです、でも同じ歳の奴は1軍なんです。

まだ学年的に控えではあるけど」

「嫉妬か」

「そうハッキリ言うとそうなのかもしれませんね」

「…笠井。嫉妬は悪い事じゃない」

「え・・」

「嫉妬は悔しいって思い。だからこそ上を目指すって気持が湧く悔しいなら勝ち上がれば良い」

「…もちろんです」

笠井向けられたの目線が、笠井の胸を突いて肩の重さが取れて向上心が出来た。












「ありがと」

暫くの沈黙のあと、選手の控室まで着く笠井の持つ籠を取るとはドアノブを捻る

「あ!先輩」

「笠井たまには気持ち話した方がいいぞ」

先輩が…いえ先輩が聞いてくるなら」

笠井の言葉には微かに微笑んだ気がした。

は気付いていたのかもしれない。

そう考えると擽ったい気持ちにもなった。

もっ彼女と話してみたいとそう笠井は思った。

これが彼女と笠井の出会い




------あとがき----

まずは、5000番をお取りになった 彗 様に捧げます!

おめでとう御座います!!!!


そして、すみませんが自分に文才能力が無いばかりにわけのわからない話しかと思われますので

補足をさせてください・・・・。

まず羽音が出来て初めての試合です。

ここら辺は、また改めて書きたいと思います

そして颯達は中学3年で引退。冬ぐらいでしょうかね。

因みに風祭君の事はご都合主義で。(ってことにして下さい・・後で気づいたんです;;)

ってな感じです。

リクはヒロインと武蔵森組の出会い編(出来れば笠井贔屓で)

だったのですが出会いが殆ど笠井君だけで終わってしまいました・・・。申し訳ないです。

では、本当におめでとう御座いました!!