甘いのはなに?

砂糖?

君の笑顔?

それとも・・・・・



 

 


キスは甘い味?


 

 

 

「あ、あの・・・これ貰ってください」

「ありがとう」

「私も!私も貰ってください」

どの位いるんだという位に人が黒銀の前に集まっている

しかも漂っているのは甘い匂い

で、色彩様々な制服の女の子たち

これは戦争かと本当に思う

しかも、群がられているのは俺たちD組の5人組

俺は遠巻きで見てるんだけどね

一番を争ってるのはきっと竜と隼人じゃないかな

昔からそうだった。あの二人に騒がない女はいないほど

「タケー。やっぱ今年も駄目だわ」

「便乗して貰おうなんて考えるからっしょ」

「俺もだめだった・・・」

「ツッチーもだよ。」

扇子をパタパタとツッチーと日向が俺の隣にくる

俺たちの目線の先は飴に群がるアリのような状況

その飴二人は対照的に反応している

アリ1は勿論我らが3Dの頭の隼人。隼人は何故か楽しげに貰ってるし

アリ2は竜。最初ずーっと無表情で断り続けてたのに段々と収集付かなくなって苦笑いで貰ってるし

その光景に俺は楽しくて仕方なかった

「なーに笑ってんだよタケ」

「面白くない?」

「ってかさ、そーやって笑っているタケ君の手に持つ紙袋なんですかね?」

「あ?これー。女の子たちがくれたんだよね」

「このやろう・・・何嬉しそうな顔しちゃってるわけぇ?」

「いたた・・絞まってるしまってる・・・」

「俺たちからの愛だよタケ君」

「うわぁ!いらないよ、そんなの」

「ありがたく受け取っておきなって」

「隼人!」

「お前女の子たちは?」

「ほら、あれ」

隼人が指差した先にいるのは、まだ囲まれている竜の姿

いや、竜の姿ではなく竜の微妙に見える頭

あの様子だと暫くかかりそうだなぁっと思った

でも隼人はどうやって抜け出せたのだろう・・・

先ほどから増える一方で減らないこの女子集団

先公も呆れてるみたいで煩く怒鳴っていたのが数分もするとなくなっていた

因みにヤンクミに至っては「お前ら若いなー」なんて台詞はいてスキップしそうな

勢いで校門を出て行った

彼氏とデートでもするのかな?

ま。先生も女だしね仕方ないか

俺には関係ないし

俺には目の前で起こっている現状の方が楽しいわけ

「で、日向の本命は?」

「いたらいいよねぇ。ツッチーは?」

「本命居たらもらわねぇよ」

「ツッチーも大分貰ったね」

「なにぃ!?俺だけかよもらってねぇの・・・」

「え?なに日向一個もなし?」

「ツッチー!!!!!」

「あははは」

「ほっとこうぜあいつら。タケは本命居んの?」

「俺も居たら貰わないよ」

「ふぅん」

「そういう隼人は・・あ・・・メール?」

後ろの方で遊んでいる(じゃれている?)ツッチーと日向は置いておいて

隣で貰ったチョコレートとか甘いものを鞄に詰めている隼人に

自分はどうなのさって聞こうとしたら、俺の携帯が女子の声にも負けず劣らずの

着信を響かせた

この音はおふくろから。

なんだよもー

「おふくろさんなんだって?」

「あー。今日は会合だかなんだかで帰ってこないんだってさ」

「いいんじゃね?遊べるじゃん」

「別に親が居たって遊べるよ」

「まぁな。じゃぁ女連れ込めば?」

「そんな女の子いないよ」

「寂しいなぁー・・・俺たち寂しいなぁ」

「日向!!重てぇ!!」

「じゃぁ彼女居ない者同士遊ぼうぜー!!今日はミッドナイトじゃ!!!」

「いみわかんねぇよ!!ってか無理だよ。俺は今日は帰んないと」

「は?だって親いねぇんだろ」

「だから帰んの!」

「この心配性!」

「何とでも言って〜んじゃぁ俺帰るわ!」

「おー。じゃぁな!女の子に襲われるなよ」

「そっちもね。日向は健闘を祈る!じゃぁな!!」

俺はその場で敬礼の真似をして皆と別れる

あ。一つ忘れてた・・

「竜!俺帰るわ!!頑張れよ」

「え、ちょっと待てよタケ!!」

「ごめん無理!じゃぁね」

そのまま女の子たちが追いかけて来そうな目で見ていたので

即効で逃げるようにして帰った。

竜。君の勇姿はけっして忘れないよ・・・なんっつって。






「あー・・バレンタイン一色だねぇ・・。仕方ないか当日だもんな」

ぼやきながら歩いていると周りは徐々にカップルが多くなっていた

俺は何か居心地が悪くなって早めに足を動かした

どうしてこんなにバレンタインになると気持ちが浮き足立つんだろうね

恋人同士の気持ち確かめあうための良い機会だとは思うし

女の子たちの純粋な気持ちを伝えることの出来る日ってのはよーく分かる

でも此処まで街中も盛り上げてあげることないのに・・・

なーんて彼女が居ないし目当ての人も居ないからそう思うのかも知れないけどさ

でもやっぱりチョコレート会社は儲かるよなぁっと思う

でも俺にとっては良い日かもしれない

だって俺甘いもの好きだもん

やっぱり甘いもの食べる時は幸せな気持ちになるよね

で、その甘いもの食べてる時に好きな人といるのは幸せが二倍だよね

やっぱり、そう考えるとバレンタインデーって本当に良い日だよなぁって思う

「ま。でも今年は関係ないか」

そう。俺には今年はあんまり幸せにはなれない

ただたんに美味しい甘いものが食べられるっていう

一個だけの幸せの日

本当はこの日までに幸せ二倍ってのが目標だったけど出来なかった

「あーあ・・・・」

街中をぬけて住宅街に入って小さな公園の脇を通った

殆どの木の葉は枯れ落ちていて裸状態

そんなのを横目に過ぎていくと、ふと少し気になることがあった

女性が一人ブランコに座って空を見上げていた

暫くその人を俺は見ていた

別に何処にでもいるような普通の女性

歳は・・・此処からではよく分からない

その女性を見ていると、目が合った

そして微笑まれた

胸がドキリとした気がした

しかもその女性は俺に手招きしている

普通なら近づかないんだけど、何となく好奇心で近づいてしまった

「こんにちは」

「え・・あ。こんにちは」

よーくみるとその人は裸足だった・・・

え・・・裸足!?

しかもOL風の服装・・・今の時間だとまだ仕事中か仕事帰りだとは思う

歳はそれでも俺と同じくらいそうだった

「黒銀の高校生?」

「そうですけど・・・」

「そっか・・・私は桃女の元生徒だったんだよ」

「そうなんですか」

「そ。懐かしいなぁ・・黒銀かぁ・・」

「はぁ・・・・あの・・なんで裸足なんですか?」

「ん?あぁこれ。ヒール折れちゃったの・・バカでしょ」

そういって彼女は片方ヒールの折れた靴を、置いていた鞄の横から見せてきた

あ。だからか・・っと俺は納得した

でもその理由がまた面白くって笑ってしまった

「なんかね、久し振りに公園見つけたから入ってみたの。で、
ブランコあったから・・

のりたい!!!って衝動的にのっちゃったら靴片方とんでっちゃって・・拾ったらヒールは折れてた」

えへへっと笑う彼女にもう一度胸がどきりとした

大人の色気ってのは感じない。

寧ろ皆無に等しいのに何故か魅力を感じた

幼く笑う彼女に・・

「名前・・教えて?」

「え・・私? だよ」

さん・・」

でいいよ・・これも出会いだしね!で、君は?」

「武田啓太」

「何年生〜」

「三年だけど・・」

「あ。じゃぁ私の四つ年下だ」

「え!? さん四つしか違わないの!?」

「え・・見えない?」

「いえ・・・その格好だと見えますけど・・・私服だとどうだか」

「そっか・・・それは幼いのだといいたいのだね君は!!!」

「ち、違うけど・・・」

「ま。いいや・・・あ。そうだ!これあげるよ」

そう言って彼女は俺に大人っぽく赤でラッピングされた物をだしてきた

それは直ぐに何か俺にはわかって・・・

「え・・これ」

「いいよ。君にあげる」

綺麗に微笑みながら手渡ししてくる彼女にどうしたらいいか分からなかった

でも嬉しいって思うのは確かで

これは直ぐに惚れたと分かった

そう一目ぼれってやつを俺は最初に見たときからしていたのかもしれない

「でも・・これ」

「いいのいいの。私には必要なくなっちゃったから」

ね?っと首をかしげて自然となる上目遣いで言う彼女は

俺の年上だとは本当に思わなかった

可愛い。

その仕草で顔が赤くなってしまった

「お。何照れてるのかなぁ?」

楽しげに笑う彼女にどうも悔しくなってしまって

「違うって!ってかこれ彼氏にあげるもんだろ?駄目じゃんその人にあげたら・・」

これは言ってはいけない言葉だったらしい

彼女は徐々に顔が暗くなり、下を向いた

俺はそれに焦るしかない

「・・・あの」

「彼氏かぁ・・・あのねぇさっきフラれちゃったの・・最悪でしょ?バレンタインなのに・・」

「え・・・」

「結婚の約束までしてたんだよー・・・馬鹿だよね・・

本当は私浮気相手だったみたい・・・」

そう言って笑う彼女の瞳には透明な雫が溜まっていた

俺は抱きしめたいという衝動に駆られた

だから、彼女をぎゅっと自分の胸に寄せた

「え・・啓太・・君?」

「泣かないでよ・・・。」

「え?」

「俺・・・貴方に惚れました」

「惚れた?」

「何故かは分からないけど・・貴方の笑顔、好きになりました」

俺はきっと自分では何を言ってるのか分かっていない。

けど言いたくて仕方がなかったんだ

彼女の泣き顔なんて見たくなかった

胸が苦しくなった

これが一目ぼれだと実感した

「・・・ありがとう」

俺の胸をトンっと押して彼女は上目使いに俺を見た

また胸がドキリとする

泣いて顔がぐしゃぐしゃなのにそれが更に愛しくなった

「ありがとう・・君の気持ち本当に嬉しい。でもね、大丈夫だよ?」

さん・・」

「私は君を好きになることは出来ない」

「え・・・」

「彼を吹っ切れないってのは勿論あるけどね・・今は恋を考えることは出来ないの」

「・・・っ」

「本当ごめんなさい」

彼女は目元をこすって少し腫れた瞳で俺を見た

この胸のざわめきは何だろう・・・

恋に未熟な俺は答えが出せなかった


「待ちます・・・」

「啓太君?」

「貴方が恋を考えられるまで待ちます・・だから・・」

「・・・」

「だから・・俺と一緒に甘い恋してみませんか?」

先程彼女から渡されたラッピングしてある箱を両手に

ブランコに乗る彼女に頭を下げた

これが俺の精一杯だった

「・・・・ありがとう」

さん・・」

「うん。よろしくね」

彼女は俺に軽く触れるだけの甘いキスをした

このとき頭が真っ白になった

そして彼女は笑った。はにかむように・・

それは大人の色気が混じっていた

きっと今の俺は耳まで赤いと思う。





甘いの貴方との出会い?



甘いのは俺の言葉?



貴方とのこれからの日々?


それとも・・・・・







---あとがき--------------
長!!!!(オイオイ)
って事で年上ヒロインでVD夢でした〜vvv
竜が微妙でごめんなさい;;;本編のドラマでまだタケがどうなるかわからないで執筆しました;;
はい。なので毎度ながら駄文でごめんなさい。タケ似非過ぎる・・・・
一応企画夢はフリーなんですよ。
こんなの貰ってくれる方いらっしゃいましたら本気で奇跡ですね。
でもお願いですから自分で書いたとは言わないでくださいね(苦笑)

では、此処まで読んでいただいて有難う御座いましたvv

感想よろしくお願い致します!!

HAPPY VALENTINE vV