大丈夫、気にしないよ…

待ち合わせ時間に来なかったのだって理由があると思うから

だから、待っていられる

連絡が着かないのもきっと訳があると思うの…

絶対に、気にしないんだ

馬鹿女だって皆にも言われるけど良いの

貴方が、好きだから…

でもね、どうして?

「…あ」

目の前を通り過ぎる楽しそうなカップル、貴方は誰?

私の呟きに貴方はどうして驚いた顔をするの?

それは、待ち合わせの三時間後だから?

「どう・・・して」

わたし質問ばっかりだ…

でも質問したのに返ってこなかった

何故って彼が素通りしてしまったから。

追い掛ける勇気なんかなかった…

もう、何が何だか分からない








意識を戻されたのはポケットの携帯

小さなオルゴールの音と共に小さく震えている。

パチンっとプラスチック音がやけに大きな音に聞こえた。

メールボックスは彼の名前。

中身、なんだか見るのが怖かった…

そのままやめようと思ったのに

後ろにいたおじさんに押されて思わずボタンを押してしまった

非情にも開かれる受信ボックス

押してきたおじさんにムカっときて振り向いて睨んだけど

そのおじさんの姿は見えなかった

仕方なく携帯に視線を移す

見たくないけど、見るしかない

「…わか…れる?」

見た瞬間おじさんにおされた事なんて頭からなくなった。

周りの喧騒も聞こえなくなって気持ちが空虚になった

唯一聞こえるのは陽気な街頭を流れるクリスマスの音楽だけ

「うそ…」

私は走った。

何処になんて分からないけど彼が去った方向に走った

追いかけなければって思った…

何処にいるかも分からないのに

それは見えない闇の中を走っている様だった…

光が見えない道を縋りつく様にただ走る

でも。何処まで走っても、辺りを見渡しても光なんてなかった。

彼は見付からなかったから

「どうして…」

泣き崩れた

皮肉にもたどり着いたのは告白した場所

そしれ初めてキスをした場所

傷ついたCDの様に何度も何度も同じ事を呟く

もしかしたらっと気持ちだけが前に進む

けれど、まったく反応は無い

何度も繰り返し名前を呼んでみても空虚な気持ちは変わらなかった

…?」

「し・・・な」

「何泣いてんのさ」

「関係ない」

「関係あるよ。そんな所で座られたら邪魔だろ」

「いいでしょ…ほっといてよぉ…っ」

どうしようもなくて座り込んでいたら椎名が声をかけてきた

見下ろされている瞳は何時とも変わらない

そして、こんな時に会ったのに私の彼に対しての憎まれ口も変わらなかった。

だからいつものように反抗した口調で反論したら

濡れる頬ごと口を手で押さえられた

「いいから泣きやんでくれない?

その後いくらでも聞いてやるよ」

椎名の出した綺麗なハンカチを私の涙で汚した。

何だかもったいないと思いながら呆然とただその光景を見ていた

「その様子だとフラれたね」

「っ!!」

「図星か。ったく…だから馬鹿女だって言うんだよ

何度も忠告したの覚えてないの?本当は…」

「好きだったの」

「知ってるよ」

「別に良かったんだよ」

「それも知ってる」

「分かってた」

「うん」

「直接見なければ良かった…」

「俺は辞めとけって何度も言ったよね」

「うん」

「でも笑いながら大丈夫って言ったのだよね」

「う…ん」

「はぁ…ほら立ちなよ」

「椎名…」

「クリスマスに予定がなくなった

馬鹿女のために俺が予定を作ってやる」

「どう・・・して」

「どうしては無し。いい加減気付けよ。

俺がお前を好きなことくらいさ…あーもう恥ずかしいな。

泣くなって、ほら行くよ」

「椎名…」

「答えなんていらないよ。

たださ、翼ってよんでよね。ほら早く」

出された手は少し冷たくて熱を持った体に丁度良い体温だった。

何と無く別れた彼に少しだけ感謝をした

やっぱり私って馬鹿女なんだろうな…とてもげんきんだ。

この場所が嫌な思い出から椎名…ううん

翼との新しい地に変わって何だかほっとしてるから。

馬鹿女。今更自覚したって遅いよね。

でもね・・・・

卒業出来そうな気がするんだ

サンタさんは私にプレゼントではなくて

駄目な部分を消すための下準備をしてくれたんだと思うから。

きっとそう翼に言ったら馬鹿女だってまた言わると思う。

でも、馬鹿女でもいいよ。


翼に言われるならさ
























---あとがき---
っというわけでクリスマス夢です

笛!より椎名翼さんでしたー。UP予定まったく無かったのですが急遽!


では、本当に此処までお読みいただいて有難う御座います

これからも精進致します・・・