なんでこんな奴と一緒のクラスなんだと後悔しても遅い。
ああ迷惑だと何度思ったことだろう…
tiresome
「あ゛ーーー!!!!」
「うっせぇな何だよ」
何の変哲もない何時もの日常
そして授業合間の休み時間
それぞれの憩いの時間に騒がしい叫び声が響いた。
その叫んだ迷惑な奴
それは西浦高校野球部に所属する水谷文貴だった。
そして一番に迷惑だと顔いっぱいに表したのが
同じく野球部の阿部隆也だった。
阿部は後ろから聞こえたその五月蝿い叫び声に耳を押さえた
「やっちゃったーーーー!!!」
悲痛とも言えるが、実は情けない声が更に聞こえる
阿部は振り返るのに戸惑った。
ここで振り返れば面倒事は全て自分にふりかかる
いつもそうだから、何となく予想はついている。
幾度となくついたため息を逆に今日は飲み込んだ。
振り返らないと面倒だし、振り返っても面倒で、
結局自分に被害が掛かるのは同じこと。
早く席替えにならないかと頭が痛くなりそうだった。
「あーべぇー・・・」
「んだよっ」
結局振り返ってしまうお人よしな自分。
花井じゃあるまいしっと一人思いながら
叫ぶほどの内容なのかと目で確認した。
「もう最悪・・・」
何が最悪なのか・・・。
いや。確かに彼にとっては最悪かもしれない。
しかしそれはあくまでも『彼』にとってであって
それだけでよばれた自分には本当にどうでも良い事だった。
さて、どんな出来事か・・・
それは数枚重なった原稿用紙の上で無残にもバラバラになっている白い物体たち
所々黒くなっていたり灰色になっていたりと柔らかそうな物体の数々がそこにある。
それは消しゴムだった
阿部は予想以上だと思い頭が余計に痛くなった気がした
どうやったら消しゴムがそんなにバラバラになる?
まったくもって阿部には理解できない事だった。
「何してんだよ」
「消そうとしてたらバラバラになったんだよぉー・・」
みろよこれーっと原稿用紙を器用に持って前に出す水谷
ここからでも見えるから・・っと阿部は正直嫌になった。
それも含めて、そんな無駄で面倒な事を言って
ささやかな休憩を奪ったクソレフトを余計に怨みたくなった
「確かに、三分の一も無かったけどさ・・・俺ってば物は大事にする奴なわけ!!
マジでありえねぇって!!」
ありえねぇのはお前だよっと口には出さない阿部
ピーピーと女子のように五月蝿い相手に殺気が芽生えた
「うるせぇなー・・」
「だって腹たつだろ?先生も先生だよ!こんな課題だしやがって」
「今度は先生のせいかよ」
「あ゛ーもう!!マジ今月金欠なのにさ」
「ってか消しゴム一個買う金もねぇのかよ」
「あべーーー」
「ねぇよ」
どこまで頭が悪いんだこいつっと、つっ込む気さえも阿部は無くなる
第一、そのバラバラの状態だって使えるには使えるのに・・・
水谷の叫びも徐々に高まり阿部の不機嫌も高まる。
どんどん状況悪化の悪循環。
そんな時に助け舟とも呼べる声が二人の間を割った。
「何騒いでんだ?」
「あ。花井・・・に栄口?」
「よ!」
「あ!!栄口ーーー!!」
途端に水谷は栄口に標的を移す。
飛びつくようにして先程の阿部に対してと同じ内容を話し始める水谷
栄口は阿部と違い一つ一つに答えて居た
それを見た花井はいつもと変わらない同じクラスの奴に苦笑する。
そして阿部に苦労を労う目を向けた。
しかし阿部はその目線をにらみ返す
心の中では、そんな目いらねぇから席変われよなんて思っていた
「水谷どうしたんだ?」
「消しゴム壊れたんだと。自業自得」
「あー・・・」
花井の目の向ける先には栄口に慰められている水谷の姿
そんな様子を見ながら栄口はお人よし過ぎるなっと頭をかいた。
いうなれば阿部のお人よしはボランティア。
栄口は聖母マリア、水谷をあんまり付け上がらせるのはどうかと思うっと
花井は考えた
「水谷、水谷」
「あー・・・このちっこいのでどうやって作文だそー・・」
「水谷ーってば」
「いや、でもさ栄口!最後まで使って駄目だったら先生に
この消しゴムの無残さを見せれば作文無くなるかも!」
「無理だろ」
「なんでだよ阿部」
「それならもう一枚くれると思うな俺は」
「ついでに消しゴムもな」
「花井ー!!阿部ー!!」
「たかが消しゴムでグチグチうるせぇんだよ」
「えっちょっ・・水谷、阿部も」
「あぁ!?」
「おいおい、阿部言い過ぎだぞ」
「そーだよ!!お前消しゴムが無くなった時の悲しさ知ってんのかよ」
「しらねぇよ」
幾度とななく始まる口論。
花井も、栄口も溜息をつく。
そしてお互いを見て小さく笑った。
苦労人。ああ嫌な響きだと思った。
「水谷」
収まらない口論を栄口が止める。
いい加減口論のネタも消えかけてきた水谷も阿部もピタリっと発言をやめた
水谷は立ちっぱなしの栄口を見上げる
すっと目の前に出される手
意味がわからず、ただ見ていると掌が開き
コロっとカバーの着いた消しゴムが落ちてきた
半分くらい阿部との意味のあまり無い口論で忘れかけていた消しゴムのこと。
水谷は掌の消しゴムと栄口の顔を交互に見ていた
「あげるよ」
「「え?」」
なぜか阿部と花井の声が重なる
水谷は目を輝かせながら栄口を見上げていた。
「いいのか?」
「ははっ何で阿部がきにすんの。」
「だって」
「いいよ。この間2個セットで買ったんだ」
「本当お前っていい奴だな」
「ありがと」
阿部と栄口のやりとりを聞きながら花井は
栄口のいい人ランクをAランクからSランクへと格上げした
何となくだが、こいつと副主将にして本当に良かったと感動までした。
たかが消しゴム。されど消しゴム。
問題は水谷が起こしたことだから。
「栄口ーーーーーー!!!!!」
座っていたはずの水谷は例えるなら犬のように尻尾を振り
栄口に飛びつく
耐え切れなかった栄口はよろめいた
「うまく手懐けてんのな」
「ははは・・・・そんなことないよ」
阿部は苦笑まじりで栄口を見上げた
心なしか同情も混ざっていたのは気のせいだろう。
「だってほっとけないだろ?」
ああ。こいつはSランクでも無くて測定不能な位置づけだっと花井は
心の中で静かに呟いた。
----あとがき----
振りかぶってにはめてくれた身内ーs'に御礼として書きました。
初めて書いたよ!!!!ギャ!!
どうでしょうか?一応ギャグ目指したつもりなんですよー(へへ
一応水栄おまけも書きました。
下の方どうぞー!!
「あ。水谷。消しゴムさ。俺の名前書いてあるんだけど」
「全然OK!!」
「この年になって名前書いてんだ栄口」
「癖なんだよ花井。」
「あ。消しゴムに名前書いてるの?なんか消しゴムに名前書く恋占いみたいだね。
水谷君、栄口君の事スキみたいだね」
「ち、ちよちゃん」
「?」
「ククッ・・・」
「二人ともどーしたの?顔真っ赤だよ」
「「なんでもない!!!!」」
おそまつ・・・・
---あとがき2---
7組+栄口っで書いたので難しかったです。
では、身内ーs'にささげます!!!