さーん?」

「ノックぐらいしろよ矢吹。それと先生を付けろ」

「なんで。めんどうじゃん。」

「お前の都合で決めんな」

「そんな事より!ベット使っていいっしょ?」

「保健室はホテルじゃない」

「俺と先生の仲だからOK」

「・・・・はいはい。もう勝手にしろ」

「サンキュー。だからさん好きだよ」
















tutoring
















白で統一された清楚な部屋

学校で一番綺麗な場所ではないかと思う

黒銀の保健室

授業中の静かな時間

具合の悪い生徒は居なく保健医であるは静かな時間を過ごしていた

聞こえるのは自分の書いているボールペンが紙に滑る音

それと掛け時計の秒針。空気清浄機の可動音

仄かに香る珈琲を飲みながら首を鳴らした

その時だった。

何の前触れもなく一人の生徒が入室したのは

黒銀の者ならば入る際に必ずノック又は挨拶をする

一般常識でもあるしマナーでもある

しかし例外もある

それは黒銀学院の新しい改革で学校から追い遣られる様に旧校舎に居る

三年D組

あいつらに常識は通じない

だから会釈もしなければ失礼します。っとも言わない

今更直そうとも思わないし

きっと意味もないことぐらい分かる

そう思うと知らず知らずには溜息を付いた

「何書いてるんだよ」

「寝るんじゃなかったのか?」

「寝る前に一服」

「此処は保健室」

「やっぱり?」

「やっぱりじゃない。没収」

さんだって吸ってるじゃん」

「残念。学校の敷地内で禁煙が成文化されてからは吸ってないんでね」

文字を追い何かを書くその表情を垣間見ることが出来ない矢吹はその固く結ばれた口をどうにかして

開かせようと驚かせるように近づき声を掛けた

は矢吹の見せる白い箱を取り上げて机の一番上。鍵付きの引き出しに入れる

英語の銘柄のそれは高校そして保健室という場所には似つかわしいものだった

暫くして聞こえてきたのは小さな溜息

矢吹は耳孔に入るその音のないものに眉を顰めた

「ねてんの?」

「行き成りなんだ・・・」

さん寝てる?」

「お前に心配されなくても大丈夫だ」

「つれねぇ」

「つれなくて結構。ほら無駄口叩きに来たなら帰れ」

が一言言い放ち、また仕事に戻ると

矢吹はその後姿をただ何をする訳でもなく眺めた

暫しの沈黙

加湿器の蒸気の音がその中で異様に存在を浮き出させていた

紙独特の擦れた音と共に頁を送る

白い白衣から覗くうなじに矢吹は誰にも気づかれず僅かに微笑んだ

「かまってよ。先生?」

「は?何してるんだよ」

僅かな笑みは徐々に深まり悪戯っぽい笑みに変わる

冗談交じりに軽く揶揄い乍浮かべる笑みを後ろから矢吹に捕まったは見えない

矢吹は自分の今腕の中に居る相手から紡がれる言葉に腕の力で答えた

反応を楽しむように

ゆっくりと

「勉強教えて欲しいんすけど?」

「俺は校医だ」

「保健の勉強しようぜ?」

「どっかで習って来い」

「先生が教えてよ」

「そういうときだけ先生って言うなよ」

表情がお互いに見えず言葉だけの攻防戦

お互いに食えない奴だと何となく頭で思った

は矢吹の腕を放そうと手を伸ばすと矢吹に指を絡まれ更に身動きが取れなくなる

小さく溜息を付くと苦笑浮かべて相手へ言い聞かせるように言葉紡いだ

「お前の相手をしている暇はないんだがな」

「生徒のカウンセリングも大事だと思うぜ」

「何がカウンセリングだ。馬鹿なこと言ってないで離れろ」

「嫌よ嫌よも好きのうち」

矢吹はの耳元で囁くと是も否も問わずに相手のうなじへに自分の唇を押し付けた。

そして鼻先でなぞる様にして首筋を上がり

見える耳たぶへ歯をなぞらせてそっと噛み付く

吐息に近い声が漏れ、満足げに口元を吊り上げた

「お前はまったく・・・・・・此処はラブホテルではないんだ」

「良い声出したじゃん今」

「俺を欲求解消の道具にするんじゃない」

「無理。さんに欲情しちゃったから」

抱きしめていた腕を緩め片腕をそのままにもう一方を降ろして

白衣の中のスーツのベルトの金具へと手を掛けながら耳元でそっと囁く。

「跡残したら殺す」

「保健の先生がそんな言葉言ったらマズくねぇの」

「俺だからよし」

さんってそういう人だから俺好きだわ」

「嬉しくない言葉をありがとう」

「本気だけど」

「お前の本気なんかどうでも良い」

「うっわひどくね?傷付いちゃったよ俺のハート」

「馬鹿かお前は」

「いや超真面目です」

「分かった。お前が馬鹿なのは分かったから離せ仕事ができねぇ」

声音を強くして首だけでは振り返る

合わさった視線

全て見透かされてしまいそうな黒く深い水晶体。

魅入ってしまいそうなその深い闇に矢吹は視線を外す事が出来なくなっていた

それから自分の唇が相手の口に吸い込まれるように近づく

鼻をくすぐる柔らかい香り。

暫く触れ合った小さな温もり

「俺のテクで酔わせてやる」

「お前ごときで俺が落ちるわけないだろ」

「どうだか。とりあえず・・やっちゃう?」

息使いがお互いに聞こえる距離

許されぬ者同士の幾重にも折り重なった禁断な行為

咎めるものなど居ない

清楚な空間に喘ぎ声と息遣いの音が人知れず響いた




それは授業間の小時間に起こす生徒と先生の密会


















----あとがき----
ご依頼はBLごくせん夢でお相手は隼人で甘々っという事でした
えー・・・申し訳ないです;;
甘々ってのが書けなくてこんな感じになってしまいました
なんだか意味不明ですね。
とりあえずBLを強調した夢になってればいいなぁっと思い書きました
本当に色々とすみません;;

「薫‐kun‐cafe」の翠華様に相互記念のお礼小説として捧げます!

これからも、ふつつかものですが宜しくお願いします!
                         H17.3.29    姫月砂凪。