「で?椎名。今回の以来報酬は」
「振り込んである」
「じゃぁ、次の依頼内容」
「なんですか?なんですか?」
カチリカチリとマウスのプラスチック音
椎名の後ろからパソコンを覗き込むようには見ている
少し邪魔そうな表情で一つ一つ動作を繰り返していく椎名
山口は頭をかきながら静かに待った
mission.1-4
「ちょっと待って・・・げっ・・」
「がくぅ・・・えんないの、ころし?」
「はぁ?学園内の殺しって」
「・・それって頭脳部隊みたいな刑事の方にまわした方が」
「確かに。椎名それで」
「麻薬保持者の反抗だってさ」
「だってさってお前・・」
ため息を付いて椎名は後ろを向いた
あからさまに嫌そうな顔の二人が椎名をじっと見ていた
嫌な依頼だということは椎名にも十分理解できる
むしろ、そう思っている一人でもあるから何とも言えない
基本的に好き嫌いなく仕事を受け持つのが信念でもあるが
出来ればこういう仕事はしたくない。
それは、行動処理班に所属する自分としては頭を使う事はあまりしたくない、
っというのが一番の理由
たとえ、どんなに頭がきれていてもだ。
椎名的には行動部隊じゃなくても十分やっていける能力を持っている
むしろ自分自身で、その位の頭は持っていると自画自賛できる
椎名は基本的に何でも出来ることから一年くらい前は捜査推理班でやっていた
しかし行き成り所属部隊の異動命令が椎名に下った
配属になったのは行動処理班
それにC部隊で部隊総人数が3人。
少なすぎるっと思ったが新規で作られるという理由から、この人数と教えられた
なぜ新しく部隊が作られ自分に矢が刺さったのかは未だに教えられていない。
文句は言ったが命令は絶対。
最初は嫌だった
何で自分がこんな班に入らなければいけないんだと思い、自分の上司でありはとこでもある西園寺に問いただしたこともある
でも、結局折れたのは自分
仕事も仕事と割り切ってやっていた
しかし現状は次第に変わっていった
何度も任務に就くうちに
自分が前にいた頭脳班と呼ばれる捜査推理班よりは
楽に体が動いたのも事実であって嫌という気持ちが消えていった
まったく顔も何もかも見たことも聞いたことも無かった、今でこそ仲の良い二人の同僚とも馬が合った
徐々に拒む理由が無くなっていったこの部隊で、また前の部隊と同じような依頼が廻ってくる
依頼内容を見たとき心底嫌になった
「前も薬関係じゃぁなかったでした?」
「前のは密輸現場の逮捕だけだって」
「依頼内容見てみると今回のは17歳位の女性だそうだね」
「あーあ・・色々やらされんなぁ」
「その場の目撃者は居なく残されたのは死体のみ」
「逃走中って事になりますよね?」
うーんっと頭を捻る
最初から考えること放棄したようにため息を付く山口
やっぱりこういう依頼はよくないっと瞬時に椎名の頭を駆け巡った
「亡くなられたのは水山道子さん。高3でバスケットボール部の選手だったそうだよ」
「引退?」
「だろうね」
「あぁ。もう高校総体って終わったのか!!!・・やばい。後輩のサッカー見にいってないわ」
「そういえば須釜さん怒ってましたよ?まったくケースケ君は!!って」
「笑顔?」
「めっちゃ笑顔」
「怖!!!!」
「平馬さんも千裕さんもケースケによろしくって・・・・えーっと。ほら」
「げっ・・・」
「山口・・・馬鹿?」
ほらっと言って自分の携帯を見せる
そこには普段友人らは絶対に使わない顔文字や特殊記号だらけのファンシーな文章が連なったいた
顔から血の気が引いていく山口に椎名は笑いを絶えた
「あれ・・・でもちょっと待って?
」
「はい?」
「なんでの携帯にメールが届くのさ」
「なんでって・・・・・」
椎名の問いかけに目を白黒させて青白くなっている山口を見る
山口は流れるように視線を移す椎名にビクリと肩を上げた
そして慌ててポケットから黒い小さいものを取り出す
「すみません・・・」
「何これ」
「あー・・・えー・・・」
「何これ」
「携帯?」
「これの何処が携帯なんだよ!!」
乗っている物は黒いトランシーバー
いつも任務で使っているものの一つで
椎名も見慣れている
それを曖昧に笑いながら取り出す山口に椎名は半分切れ始めていた
「僕、説明します!」
はいっと手を上げて口答する朝倉に椎名は首を振る
山口は一瞬助かったと思った心が、急激に熱を冷まし始めていることに気が付いた
横ではごめんなさいっと小さく謝るの姿
憎めない奴だから諦めが付いた
さぁ怒るなら怒ってくれ。しかしにまで怒るなよっと半分神頼みで
心の中で山口はアーメンっと呟いた
-あとがき-
もともとの接点が無いのはこんな理由
H17.0921