三人が入ったのは一般的なシアター形式の会議室

真っ白な机に真っ白な椅子が几帳面に並べられていた












mission.1-3










「疲れた・・」

「確かに」

小さなやり取りをしつつそれぞれ椅子に座る

は腰のブレストポーチから紺の携帯を取り出すと

パチンっと音を立てながら開いた

隣では椎名が持っていたノートパソコンに電源を入れている

二人に視線を流しつつ山口は頭をかいた

「山口、これコンセントに差し込んで」

はいっと手渡したのは延長コードと

パソコンに繋がれた黒い電源コード

山口はため息を付きながら立ち上がる

何で俺が・・っと思いながら後ろにあるコンセントに差し込んだ。

此処にも優しい人物発見

そんなことを思いながら は携帯を弄る

「あ!!すみません。渋さんから電話入ってるんでかけなおしてきます」

「おー。いってらっしゃい」

、渋沢に今回の報告書送ったって言っといて」

「わかりましたー!」

パタンっと扉が閉まる。

ドアの向こうではパタパタと足音が遠ざかる音が聞こえる

何処で電話するんだ?っと山口は首をかしげた












暫くの無言

それは椎名のパソコンが起動するまでの無言だった

「今日までだよな?契約」

最初に口を開いたのは山口

椎名は軽く目を向けて見た

「ああ」

「次はなんだろーなぁ」

「今、調べてるだろ」

「何やらかしたんだろうなぁ」

「暴行か何かだろ」

「だよなぁ」

「・・・・・・・・。」

「まったく最近の若人は!」

「それ古い」

「え・・・」

間延びした声にいちいち答える椎名

パソコンの画面上には起動するまでの、幾つもの文字の羅列があった

それを一つ一つ解除していく

パソコンは自分用の物に限り必ず自分しか分からないブロックを

仕掛ける事が義務づけられてる

個人のデータを入れていることもあるが、それは一部に過ぎない

基本的に依頼内容や相手側の情報すべてがパソコンに送られるため

誰かに触れれてしまうと先の任務に支障が出てしまうからだ

「俺達も年は一緒位だろ?」

「ああ・・・世間の風はつめてぇなぁ・・あんなのと一緒なんて」

締め切った部屋の中で山口のため息がやけに大きく聞こえた気がした

そこにバンっと大きな音が重なった

バタバタとした煩い足音で入ってきたのは

手に持っている携帯を握り締めて

憤慨した様子で口を開いた

「山さん椎先輩!!」

「どうしたんだ?」

「き、き、聞いて・・ください、よ!!」

落ち着きなよ」

椎名は息を切らせながら入ってきた後輩に

難しい顔をした縫いぐるみを渡した

「椎名・・どっからそんなもん・・」

「僕!信じられません。非常識です」

「・・・・山口。欲しいの?」

「いや、別に」

「はい。」

「あ・・・りがと」

「聞いてますか!?」

何処から取り出したのか分からない物体に驚いて見ていただけで

別に物欲しそうに見ていたわけではない山口に

椎名は に渡した縫いぐるみの、今度は悲しそうな顔をしているものを渡した

一見不気味。

伸ばしたり引っ張ったりしている山口とパソコンにまた向ってしまった椎名に

さらに憤慨したように は叫んだ


「おお。ごめんごめん」

「聞いてるよ

「そうですか・・すみません。あのですね、先ほど渋さんに電話をしたら

日生さんの部隊で大変なことがあったんですよ!」

日生っと言葉が出てきた瞬間に椎名は顔を上げて をじっと見た

山口も同様にしている

「大変なこと?」

「そうです!!」

「何があったんだ?」

「万引き犯です!!」

「「はぁ!?」」

少し緊張感が出ていたその場に二人の声が響いた

重大な事を言ったつもりの は、え?え?っと何度も先輩二人の顔を見る

椎名は盛大なため息と共にまたパソコンに視線を移した

「日生達監査班に万引きの依頼って珍しいな」

「それ位人手がないんじゃないの?」

イライラしたように言い切る椎名に山口は苦笑いだった

そのイライラを作った原因の は、

まったく気にせずに腕を組んでムッとした顔をした

「渋さんの話では一番高額の万引き者は中学生だったそうで

盗んだものは化粧品等の合わせて1万円!一万ですよ、い・ち・ま・ん!」

「あー・・・随分とまた」

「親御さん・・泣いちゃって」

「まぁ確かに泣くだろうな。

あ。山口、渋沢に報告書コピーしといてってメールしといて。」

「自分でしたらいいじゃん」

「暇そうなんだからやれ。それともなに?暇そうにしてるのが仕事とか言うんじゃないだろうね?」

「あー・・はいはい分かったよ」

椎名と山口は の話を話半分で聞いた。

の話は今の世の中何処にでもいる少年少女の話だ

いまさら驚くことも無い

「でも性質が悪いですよねぇ・・最近の若者は」

「育ち方の問題なのか育て方の問題なのか」

「親の顔が見てみたいよなぁ・・・」

「ですよね!!きっと親御さん泣かせてもケロっとしてるんですよ。反省の色なし」

「そういう年頃なんじゃないの」

「椎先輩!年頃ではすみません。本当に僕的な気持ちとしては家庭裁判所行きですよ」

「じゃぁ その親御さんの所行くか?」

「椎名、俺達の依頼は今日までに『今日もニコニコ笑顔で挨拶、花まる印の花まるマート』の

万引き犯を捕まえることだけじゃん」

恥ずかしいっと思いながらもキャッチコピーまで言ってしまう山口

椎名は笑いを抑えつつポンっとenterキーを押した

「ま。やるわけにはいかないな」

「あー・・日生さん達の所まで行ってガツンって言ってやりたかったなぁ」



「分かってますよ」

拳を握り締めて強く語る に椎名は苦笑した

正義感が強くて一生懸命に考える後輩

そこが長所であって年上に好かれ易い要因のひとつであって

自分もそこに惹かれる一人である

しかし脆い部分が多々あり考えなしに突っ走ってしまうなどの

欠点も山ほどある後輩に止める役は自分しかいないのかと、先ほどとは別の意味で苦笑いがもれた

しかし、なんだかんだ言っても自分の認めた後輩であり同じ隊員

憎めないのが本音の椎名だった
































-あとがき-

いまだに山口君のキャラが掴めない・・


H17.0907