「
に先陣は無理だ」
紅色に染められた川辺で責めたてられるように竜に言われた
ムカっと頭にきたがあえて何も言わなかった
「それは役立たずだと?」
「お前、現に役に立ってなかったじゃねぇか」
「…うっ」
「ちげぇよ。あのな、マジ心臓いくつあってもたりねぇんだよ」
隼人が痛そうな顔をして言った
全員を見ると同じ表情
罪悪感
守りに行ったのに、蓋を開けてみれば守られて帰ってきた自分
蚊の鳴くような声の謝罪が自分の口から漏れた
「綺麗な顔に傷付けやがって!俺達も殴っとけば良かった」
「いやお前達も十分綺麗な顔してると思うが…」
少しどんよりした空気に割って来たのは日向
日向は俺の肩を掴んで揺り振った
巡るましく揺れる視界に少々の具合の悪さを感じながら
助けにきた時、倒れている俺たちに見て必死な形相をしていたのを思い出す
そしたら笑いがこみあげてきた
「俺的には竜や隼人達の綺麗な顔を傷付けられる方がよっぽど泣きたいが」
そう。みんな男前過ぎて文句の言いようがない
しかし本人たちはそうは思っていないみたいで
俺の言葉に端正な顔立ちを渋い顔にしている奴らに、再度笑いがこみ上げた
「あ。眼鏡」
笑いながら、癖で眼鏡をあげようとして無いのに気付く。
視界が少しぼやけて見えるのはこの姓かなどと理解する
眼鏡、勿体無い。と暢気に考えながら溜め息付いて顔をあげた
「な、何だ…」
何故か山口を含めた全員の視線
驚いて、少し後ずさる
「襲った奴許すまじ!」
「この隼人様が成敗してくれる」
「休んでろよ…」
ギャーギャー騒ぐこいつらに眩暈を起こしそうになった
武田達なら分かるが、隼人はその体力、何処から出てくるのだろうか
「本当お前達似た者同士だよな」
「勘弁してよ」
「似てねぇだろ」
「似た者同士だよ面子に構わず武田のために頭下げた小田切
仲間巻き込まないようにたった一人で荒校の奴等戦おうとした矢吹
やり方は違うけど、どっちも仲間を守ろうとしてやったことだ」
山口の似たもの同士発言
確かにっと思う
姿かたちも言葉遣いも違うのに横の二人は似ているっと感じた
「別にタケの為じゃねぇよ。もしタケが退学になったらさ、御袋さんが泣くと思って」
「俺だってこんなんで誰かが退学になって恨まれても気分悪ぃし」
「お前ら本当上等だよ」
「けど、みずくせーよ!隼人も竜も、それにも」
「そうだよ」
「俺 たちダチだろ?」
「お前らよわっちーから足手まといなんだよ」
「おいおい、それはないだろ」
「言いすぎだぞ」
「よし!皆!!学校に帰るぞ」
「「「え」」」
「なんだあいつ」
「本当変な先公だよな」
「でーも。なんか楽しくない?」
「確かに・・・」
「でしょ。もそう思うっしょ!」
俺は武田の言葉に頷く
「ごめん」
矢吹の謝罪の言葉
この瞬間に蟠りは消えたようだった。
優しい雰囲気の中
どこか幸せな時間
武田の笑顔を見て良かったなってそう思った
--あとがき--
やっと終わった・・・。
一話に凄い時間を要しました。