好きって何?
愛するって何?
かけがえのないものが、壊れ落ちる
傍にいることに慣れすぎて・・・
気付かなかった自分に悔しさがこみ上げる
季節が何度も衣替えをして一つ一つ大人になる君の成長は終わりを告げた
勿忘草色
「大丈夫ですよ!今日のバイトはいつもと同じ合戦のお弁当売り」
「しかしなぁ・・」
「前からやってるじゃないっすか!!!」
「うーん・・・」
「土井先生〜・・・」
土井半助はいつもの様にバイトに行こうとするきり丸に、変なモヤモヤ感を覚えた。
入梅の季節、あまりかんばしくない天気が毎日続き
忍術学園でも外の実習が何度も変更になり、気持ちまで落ち込みそうになる時期。
外には出たくないっという忍たまが多いなか、きり丸はそんな中でも一人バイトに勤しんでいた
「今日は曇ってますし!」
「やはり駄目だ。今日は辞めておきなさい」
「なんでですか!!」
「何故ってなぁ・・」
「もう!!早く行かないと合戦終わっちゃうじゃないっすか!!お弁当も腐っちゃいます」
「おい!こらっ!」
きり丸は土井の言うことを振り切ってお弁当を持って走りだした
土井は出足が遅れて、もう遠くに行ってしまった彼の背中を見ながら溜息付いた
きり丸の大変さは傍にいていつも感じる。
無理に引き止めることも出来るわけがない
「土井先生?」
「善法事君か」
「はい。どうかしましたか」
「え?何かしていただろうか・・」
「いえ、暫くこの場でボーっとしていらっしゃたので」
「そうか・・」
「何かあったんですか?」
「きり丸がな〜・・」
「アルバイトですか。」
伊作は微笑みながらきり丸の去っていった出口に目を向ける
伊作には彼が心配する気持ちが分かった。
まだ足元を見るとぬかんでいる土
そして上を見上げると雲行きの怪しい空
不安要素は十分、 ましてはきり丸はまだまだ半人前の忍者の卵。
保護者として土井自体は気付いていなくても、彼もきり丸を慕っている一人として、
心配するのは当たり前である
「大丈夫ですよ。遅くとも未の刻には帰ってきますよ」
「だといいんだが・・」
なんともいい難い表情で土井は空を見上げた
灰色の空が自分の心を表しているようで切なくなった
この胸の蟠りが取れるように早くきり丸が帰ってくるように切に願った
叶わぬ夢と気付かずに・・・・
伊作の言っていた未の刻(午後2時)は当に過ぎ、もう暮れ六つ(午後六時)になる
いつの間にか自室でうとうとしていた土井ははっとして気付いた
おかしい。確実におかしすぎる
お弁当売りに此処までかかるとは考えられない。
きり丸はバイトから帰ってきたら一番に帰還報告をしに来るはずだった
自室の窓を見ると白雨がこの時期の象徴のように降り続いていた
自分の中にあった胸の蟠りが一気に膨れ上がった気がした
静けさの中には雨の音と自分の鼓動が響き渡った
「土井先生!!!」
「え?」
行き成り、暫く前に話していた伊作がびしょ濡れで走ってきた。
その姿にも驚いたが彼の異常なまでの焦りと緊張感に驚く
「どうしたんだ!?」
「き・・・きり丸君が・・・」
「きり丸がどうした!!!」
「外に・・・外に・・・・」
その言葉を聞いて先ほどの胸の蟠りが一つ音をたてて崩れ落ちた
土井は伊作の言葉を全て聞く前に部屋を飛び出し
かすかに伊作から聞こえた出口の言葉を耳に残し・・
そこには何人かの先生と上級生がいた
雨が降っているにも関らずその場を動かない。
土井はその場所に走った
その中の一人が気配に気付き此方向き、一人また一人と気付きその場を走りながら、
また悲しそうにうつむきながら去っていく。
土井が到着した時には数人の先生たちや少しの生徒しか残されていなかった。
保険医の新野が悲しそうに抱いていた相手を見て土井は胸が締め付けられる衝動に侵される
目を疑う。そこ居たのはぐったりと横たわる自分の心配していた相手
「バイトの途中流れ矢が当たったらしい・・・」
新野はそう言い、その抱いていた相手を土井に渡した
土井は震える手で受け取る。その間も必死に新野は処置を施す
「土井・・先生・・・」
山田が悔しそうに悲しそうに言葉を漏らす
「きり・・・丸?」
「せんせぇ・・・?」
苦しそうに息を漏らしながら目を開けるきり丸
「ごめん・・・な・・さい」
「きり丸。もういいから・・謝らなくていい。しゃべるんじゃない」
真っ赤な血が止血を振り切って流れ落ちる
きり丸は泪を流しながら必死に謝った
「・・ごめ・・ん・・なさい・・・せんせぇ・・・」
「いい。もう話すんじゃない」
「せんせい・・・・す・・・き・・っ・・て・なに・・?」
「何言って・・・」
「おれ・・っ・・せんせいが・・好き・・大好き」
「きり丸!!!」
「だか・・ら。なか・・っ・・・ないでくだ・・さい・・・ね・・」
きり丸はそれをいったきり瞳を閉じた。
処置をしていた新野の手も止まる。
もう・・・駄目だと判断したからだ
先生方は新野の反応を見て、その場に残っていた生徒を促して去った
濡れている頬を擦り髪の毛を触る。
しかしまったくの反応をしない相手
「きりまる・・?」
「嘘だろ・・・・きり丸――――――――――――!!!!!!」
次第に強くなる雨も気にせずにきり丸を抱きしめる
「嘘だと言ってくれ・・・お願いだから・・・目を・・目を開けてくれよ」
土井は狂ったように叫び続けた
もう開けない彼の瞳
寂寂に雨の音。心の痛さに降りしきる雨が痛く沁み込んだ
もう叶うことのない願い。空の雫は雨の夜空に消えるだけ……
好きを教えてやれなかった
愛を与えることが出来なかった
君の瞳は雨月となってしまったから
---あとがき----
ちょっと失敗してしまった文章です・・・今度直しをしたいと思います;;
バットエンドで申し訳ないです。
何個か分からない単語が出てきたかと思います・・・
管理人も結構意味は売る覚えだったりはしています・・;;
スルーして単語は読んでくださっても構いませんので・・
此処までお読みくださって誠にありがとう御座います!!