俺たちの関係は、恋人なんて甘い単語ではあらわせられない。

周りから見れば、それはとても不幸なことかもしれない。

けど、俺たちはそれなりに幸せで、この関係が今一番落ち着く。

全員が全員天邪鬼で、自分善がり。つまりは自己中だから干渉してこない。

其の空間は・・・




禁忌……これをそう呼ぶのではないだろうか……





















   禁忌中毒

































「っぁ……」

「少し我慢しろよ?」

これが常に日常。

俺たち三人で同じ床で愛し合う。

俺たちとは、立花仙蔵と摂津のきり丸、そして俺鉢屋三郎。

どこで意見が合ったのかは分からない。そういう風に話し合ったことも無い。

確か雷蔵を迎えにいった図書室できり丸を見たんだ。

それから何処と無く一緒になって、以前から関係を持っていた立花先輩と一緒にきり丸に欲求をぶちまける。

最初は好きとか、愛してるとか、そんな感情は持ち合わせてなかった。

ただの娯楽。惹かれていたというのは合ったかもしれないけどね……

立花先輩はどうかしれないけど、今はこの自分が組み敷いている相手を大事思っている。

一緒にいて、からかっていると気付くこいつの表情。

本当気付かなかったんだよ……素っ気無く見えて、いつも牙をむいているけど、

一瞬見せる切ない表情……いつもそれに魅せられる

気付いちまったら最後溺れてしまった。

まだ俺たちとは違って線の細い躯付き。5年になったくせにな……。

本人に言って、からかったら「いくら体力付けたって無理なんっすよ」っと素っ気無く返された覚えがある。

まぁこっち的には抱きやすいからいいけどな。

俺はこいつの髪の毛が一番好きで気に入っている…勿論立花先輩のも。

さらさらで流れるような黒い髪。立花先輩も綺麗な黒髪なんだけど、きり丸のは撫で梳きたくなる髪。

とにかく柔らかい。

二人は似ている。雰囲気っていうのか色々と……

けど、抱く時にいつも思うのは雰囲気は似てても躯付きは違うって事。

均整の取れた躯で女の様に柔らかくもなく、男臭さも感じられない。それが立花仙蔵。

子供のような体温で、子供のような抱きやすさ。けど男な感じはあって・・・それがきり丸。

俺と先輩は二人できり丸を抱く。

三禁の理がある忍び。

俺たちは其の一つの女を抱くことはなく無く男を抱く。

今ではきり丸のちょっとした仕草でも欲情しそうな部分がある位、感情を持っている。

雷蔵といてもこんな感情は無かった。

こんな風になるまで一番大事だったのは親友の雷蔵だった

唯一心許せた相手のはずだった……

けど今は、この二人の前で自分の素顔を曝せるほど大事になった。

手放したくない、居心地のいい空間

まぁ。雷蔵とは別の意味だけどさ。





禁忌……引き返せない俺の過ち。それは侵すために存在する。



















「やぁ……」

「ほら、きり丸。」

日常はいつも匂艶。

私は可愛い可愛い後輩たちと同じ寝場所で抱き合う。

自分がこういう容姿だから何度も快楽を味わった事がある

だから……やり方もやられ方も知っている。

それについては鉢屋もきり丸も同じだろう表面上言わなくても。

自分は冷静で客観的でなおかつ合理的に澄ましてしまう性格だ。ようするに熱くならない

しかし、何処で決まったのかは定かではないが私と鉢屋は狂ったようにきり丸を抱く。

切ないくらいに自分の快楽を貪るように……

最初にきり丸を見たとき何かが私の中で引っかかってはいた。

大きな猫目の少年……確か図書室だった。

長次が図書委員だから用ついでに本を借りに行った。

そこに大きな生意気な猫がいた。

今思えば私はあの猫目に惹かれたのかもしれない。

そういえば、長次は猫がすきだったな…可愛がってる後輩攫ってしまったかな?

鉢屋はいつからか一緒にいる関係になってたな。

もちろん微妙な身体の関係もあった。

今は抱かれる側が二人で抱く側になったけど。

男ってのはどう転ぶか分からないね

二人の後輩を私は大事に思っている。甲乙付けがたい程に……

どちらも私に負けず劣らず成績がいい。これについては毎回感心する。

せっかく手に入れた居心地の良い場所。そう簡単に手放すなんて愚弄なことはしない。



禁忌……侵してはならぬもの、しかし私は喜んでそれを侵すことを誓おう



















「好きだ……」

「愛しているよ」

「す……きです」

いつからこんな日常なのだろう。

先輩たちに愛されて名前を呼んでもらって…触れてもらって……

日常のように俺は先輩たちの欲望を受け入れる。

男だから不便さはあるけど、その辺は先輩たちの知識が俺を引っ張ってくれる。

俺の知ってる事なんてのは腹の足しにもならないと思うし。

最初は何処と無く避けていた。嫌いだったんだ、先輩との接触が…

この先輩達に何処か見透かされている気分になっていたから

けど、いつからだっただろう…二人を受け入れるようになったのは……

思い起こしても、その瞬間は思い出せない。

きっと必然的な運命だったからかもしれない。

確か前に何故俺を構うんだよ…って聞いたら…違うな、呟いたらだ――なんていったと思う?

「可愛さとは罪だと思う。

無条件に、撫でて抱きしめてベタベタに甘やかして可愛がりたい。」って言われた。

正直ありえないと思った……俺は可愛いなんて言われたことはない。確実に立花先輩の方が綺麗だし。

けどそれは見透かされてたようで、

「お前の黒目が潤んだまんまる目。大きな猫目で、相手を必死に睨み付けている。

肌はつやつやで触り心地が良さそうで、黒い髪の毛はサラサラしていて風に凪いでいる。

全体的に男なのに線が細い、ちょっとつっついたらキャンキャン吠えてきそうな。

頭をなでてやったら、嬉しそうに尻尾を振りそうだ――お前は十分可愛いよ。」

って……ようするに俺は先輩方にとって飼い犬のようで飼い猫?

たまにそう思う…………。

同時にそれは俺で無くてもいい気がする。

それは今でも同じ思いは何処か片隅にあっていつも疼く。

愛してもらう内に自分が先輩方に呼ばれて触れて欲しいって思った時には自分はおかしいんじゃないかと思った。

御互いの腹の内はこれからも絶対に見せたりはしない関係。

けど居心地が良くなってしまった関係。

先輩は俺にその目が好きだと言った。先輩は俺の髪の毛が好きだといった。

俺が先輩を好きな理由、それは─────…




禁忌。気持ちの整理が付かぬままに侵してしまった真実。俺はこれからも侵し続ける………


































----あとがき-----

立花&鉢屋×きり丸でした〜………

どうですかね・・・三つの構成に分かれてそれぞれに語る様にしました。

まぁ激しく似非って所は勘弁してやってください・・・・(泣;)

鉢屋と立花は主に出会いとどうしてきり丸を好きになったかなどでした。

きり丸に至っては二人からの接触に未だ戸惑ってる感じで書きました。

でも相思相愛?ではあるんでしょう。




ここまでお読みいただき、まことにありがとうございました!!