夜終瞬き続ける煌星。

それは情事後のこと・・




























   落花流水




























きり丸は二人と激しく愛し合った後の何刻も経った後に目を覚ました。

起き上がり自分を見ると、無数の紅。それに少し驚いて顔をあげた。

周りを見ると、数刻程前に愛してもらい

何度も名前を呼んで縋った二人が穏やかに寝顔を見せて自分に添い寝をしていた。

途端に顔が熱くなるのを感じる

その二人とは、立花仙蔵と鉢屋三郎。

立花はいつも通り、綺麗な美しい顔で静かな寝息を立てている

もう一人鉢屋はいつもの不破雷蔵の顔で穏やかに眠っていた。

情事中は素顔なのに、いつの間に戻ったのだろうと無遠慮に思い見つめる



飽きず見つめていると鉢屋が苦しそうに眉を顰めて唸った

きり丸は、先輩もこんな顔するんだ可愛い〜・・・っと密やかに笑って二人を交互に見つめ続けた。

ひとしきり見つめた後に、立花が畳んだであろう自分の寝巻きを羽織り立ち上がる。

そっと二人を起こさないように、気を使いながら抜き足差し足で障子を開けて外にでた。









外は月華と星影で夜目が利かなくても明るい感じがした。

置いてあった草履を素早く履いて、庭に出る。

ここ、立花家にきり丸は遊びに来ていた。

今は5年生になって初めての春休み。

土井半助が暫く仕事で帰れないということで、住み込みのバイトを探していたところに、丁度良く立花からの誘いがあった。

勿論立花には春休み中に会う予定だったが、こんなにも早くそしてタイミング良く誘われたので

きり丸は喜んで頷いたのは記憶に新しい。

立花からの誘いの後、卒業して軌道に乗っている鉢屋からも会おうとの誘い。

きり丸は鉢屋からの誘いに立花との約束を直ぐに話した。

鉢屋は自分もと直ぐに決め、結局三人で集まることになった。

いつもと同じ。つも愛してくれる二人と・・

「綺麗だな」

ぽそりときり丸は呟く。

立花家のとんでもなく広い屋敷の庭に咲く夢見草に光が当たり、夜桜の本当の姿を現している気がしてならない。

自分は何をしているんだろうと・・・どうしても切なくなる。

この5年間あの尊敬している先輩たちに近づけないことでとても悩んだ。

自分を愛してると言ってくれる先輩。自分の耳元で甘く名前を呼んでくれる先輩。

しかし自分の中でどうしても離れてる間隔があった・・これは夢でないかと・・



「すべて夢・・目が覚めれば悠久の夢の如し・・・」



「それは・・・終焉、それとも・・・黎明かな」



返答は無いと思って口にした言葉に返事が返ってくる。驚いて振り向くと、きり丸と同じ庭に立ってきり丸を見ている立花と、

その後ろ、腕を組んで柱に寄りかかる鉢屋が居た。

「せ、先輩」

正直きり丸は焦りを隠せなかった・・・いつからここに居たのだろう・・・一応気配は殺して外に出たはずなのに

「気付くよ・・伊達に忍者やってるわけじゃねーんだ」

きり丸の考えはお見通しだったようで着崩した寝巻きそのままにじっときり丸を見つめる。

その射抜くような瞳に少し後づさってしまった。

「きり丸、何を恐がる必要がある」

「・・・っ」

立花の繊細な指がきり丸の頬を優しく撫でる。その手は少し冷えていて恥ずかしくて赤くしていた頬には気持ちが良かった

「夢では終わらせない。きり丸を手に入れたその日から、きり丸を欲した日から」

立花の目はひどく印象的で真面目で妖艶な輝きを写していた。

二人の視線にきり丸は自然と目線が下がる。気持ちまで下がるようでギュっと目を閉じた

「なぜ・・・俺を・・・」

喉に使える言葉を絞り出して口から出す。

直ぐに答えはない

いつの間にか近くに来ていた鉢屋と立花がにやっと悪魔の笑いを見せたのが感覚的に分かった気がした

「私たちは、よく似ていると思わないかい?・・背負っているモノ・・背負わされているモノが・・生きている理由も・・・」

「え?」

「俺もそういう感じがする・・・何処と無く求めるものが同じ・・けどな傷の舐め合いでお前を抱いてるわけじゃない」

「・・・・鉢屋・・先輩」

「最初は似てる感じがしたから私は気になって近づいただけだが・・・今は君を愛していると誓えるよ・・もちろん鉢屋もな」

「はは・・言ってくれるじゃん先輩」

鉢屋と立花の微妙ないい合いとその中に含まれる愛の言葉にきり丸は顔が赤くなってしまう。

いくら学園でクールな奴で通っていても、このふたりの前では素直な生き物。

そんなきり丸の様子に気が付いたのか、軽い言い合いを止めてきり丸に目を向けた。

「お前は・・俺たちが認めるほど凄い奴だよ」

ふぅっと息を吐いてからきり丸の頭を愛しそうに梳く。

「なんたって、俺たちを骨抜きにしたんだからな」

鉢屋もまた愛しそうにきり丸の頬に手を当てる

「せ・・・先輩・・・」

少しうつむいてしまった顔を上げて嬉しそうに微笑んだ。

「先輩・・・俺、先輩たちが大好きです」

微笑みと一緒に言われた言葉。呆気に取られ二人が見惚れたのは言うまでも無い。

「まじ・・・きついって・・・」

「はぁ・・・なんでこう・・・」

同時に頭を押さえた二人、きり丸はその大きな猫目をパチリとしばたかせる。

きり丸にとっては二人の反応がなんだか分からない。

「きり丸お前さ・・」

「・・・?」

軽く小首をかしげる姿。軽く羽織っているだけの寝巻きから白い肌が除き、発情するのは必然で。

こいつ確信犯か・・・っと軽く心で悪態つく鉢屋と、うっすらと笑みを浮かべてきり丸を見る立花

「きり丸」

「・・え?・・・っ・・・!!」

呼ばれて気付いた時にはきり丸の口は立花に吸われていた。

呆気に取られるきり丸

「今日は悪いけど寝させられそうにない」

にっこりと誰もが言うであろう極上の笑顔で口説かれる。

隣の鉢屋はこの展開が見越していたのか、彼は彼でニヤっと笑って離されたきり丸の唇を奪った

「んっ・・・」

先程の立花とは違い深く入り込む舌。

腰が抜けるほどに巧くて直ぐに腰が抜けて崩れるきり丸

「鉢屋、よろしく」

「分かってますよ」

腰の抜けたきり丸を横に抱いて、二人は先程の部屋に入っていく。

この後、悩んでいたことなど忘れるくらいに愛されるのは別のお話し・・・。

























----あとがき-------

エロなし!!立花&鉢屋×きり丸でした。ねぇよな・・・こんな小説。

激しく全員似非!!!!すみませんでしたー!!!(何も見ないで書いてはいけません;;)

単体でならあっても二人同時って・・・先輩二人なんてえらべなーい・・ウフっとかそんな感じの姫月には一番嬉しいキャスティング(苦笑)

何処と無くこの三人って一緒にさせたくなる姫月です。

情事前とかその辺はまた別の機会に書こうかなぁっとか思ってます

ご感想いただけると嬉しいです。