とどかない

それは今宵水面に浮かぶ満月のように

儚く脆く手さえ届かない

ああ。どうしてこんなにも切ないのか



























   停雲落月





























宵闇に二人の後姿

目の前の泉はキラキラと月光に照らされて水の中まで透き通って見える

そこに水音と水の冠。小さな丸い石ころが水面を壊す

夢心地

なんだかそんな気がした

「乱太郎?」

「え…」

「どうしたんだよ、ボーっとしちゃって」

「ううん。なんでもない」

「そっか」

きり丸は様子のおかしい乱太郎にあえて何も言わなかった

何故ここに来たのかも、暫く静けさだけのこの空間にも疑問は多いけれど

親しすぎる彼の異常なまでの沈んだ雰囲気が口を閉ざさせていた

沈黙の世界

月影に二人

この空間は静けさだけ

「きり・・ちゃん」

「ん?」

また一つ水面が灰色の物体によって割かれる

きり丸は石を投げるのを止め視線を感じたほう、乱太郎に目を向けた

「とどかないんだ」

乱太郎の手がきり丸の頬を撫ぜる

真っ直ぐときり丸は乱太郎を見ていた

絡まる視線

二人にしか分からない心地の良い沈黙

「それは俺も同じだよ」

温かい掌を外すことなくきり丸は目を伏せた

それは拒絶にも見えて切なく心が疼いた

とどかないのはどちらも同じ

ただ欲しいものを欲しいだけなのに叶うことはない



「戻ろう…か。きりちゃん」

言葉が濁るのはまだこの場にいたいから

離れたくなんか無い。

でもこの場にいたらおかしくなってしまう

「ああ」

本当は了承なんかしたくない

いつまでもこの宵闇の逢瀬に没頭したい

自分の過ちに未だ未練の残る想い





振り向けばお互い繋がれる鎖

本当は違う鎖

けれど、何が違うのかは答える事が出来ない

望んで掴み縋りついたモノだから

けれど時折どうしても苦しくなるのは偽りのせい

真実に目を向けることが出来なかった過去が苦しめるている


「乱太郎」

「きり丸」

自分達を呼ぶ声は涼やかで心地よくて安心するけれど

支配されるとはこの事なのではないかと事実を突きつけられたように苦しくなった

それはお互いに別々の鎖だからかもしれない

手を伸ばせば届くのに自分たちは選ばなかった

後悔なんてしていないのにそれはまた一つ重く感じさせる心の病気

素直になれず別の鎖をとった自分達

許してくださいっとは言わない

けれど忘れないでくださいっと何度も何度も明月に祈りを重ねる

愚かだと何度言っただろうか

偽りだと何度憎んだだろうか

けれど自分の気持ちを偽ったのは結局のところ自分自身

手を伸ばせば届くのに小さなちいさな想いのせいで届かぬ距離。

今更後悔しても遅い

会いたい・・それだけ願うのに何度罪を感じたのだろう

悲しくて切なくて苦しくて恋いしいと何度も何度も終夜に言ノ葉にした

届かぬ思いと叶わぬ想い

どうか夢を見させて下さい

貴方の幸せを望ませて下さい



叶うならば・・・・・



























---あとがき---
はい。意味不明小説をUPしました。
CP説明させていただきますと、
きり丸→←乱太郎
それに加えて誰か×きり丸・誰か×乱太郎
っという説明するだけでも意味不明な小説です。
この小説の意味分かった方本当。お友達になってください(えー・
自己満足すぎる小説でスミマセンデシタ!!!;;;


停雲落月とは親友をたとえた言葉だそうです。