晴天の空の下何処までもどこまでも白く

気持ちは晴れやかなはずなのに・・・























   好事多魔






















「きり丸君、これそっちに持っていってくれるかい?」

「あ。はい!」

今日は図書委員会のある日。

いつもは委員長である長次先輩が居るのに今日は一向に姿を見せない。

僕は、働くきり丸君の背を見つつ何故だろうと首をかしげた

確か五・六年生は実習が朝から今日は行なわれた、

それは二人ずつペアになって課題をこなすという実習

僕のペアの先輩と僕は何とかクリアして学校に戻ってきた

けど、三郎と長次先輩のペアは放課後の今もまだ戻ってきていない

もしかしたら何かあったのかもしれない。

ただ、心配はするものの助けに行くなんて馬鹿な真似は出来ないし、

長次先輩は当たり前だけど三郎だって忍術に長けている

気長に待ったほうがよさそうだ・・・それに此処を開けていくなんて出来ない。

きり丸君一人で仕事を任せるなんて更にまずい。

「先輩。長次先輩遅くないっすか?」

「きり丸君もそう思うかい?」

「かならず委員会の時間には帰ってきてましたし」

「だよね。やっぱりおかしいよね」

「やっぱり?」

「今日は五・六年合同実習だったんだよ」

「合同っすか」

「そう。長次先輩は三郎と組んでるんだけど・・・

本人達以外どんな課題かを教えてもらえないんだ」

「三郎って変装で有名でいつも雷蔵先輩の顔をした?」

「そう。鉢屋三郎」

「そのペアなら大丈夫なんじゃないっすかね」

「僕もそうは思うんだけど、長次先輩が委員会に遅れるのは今まで例になかったから」

「確かに・・・あの先輩が遅れるなんてありえない。天地がひっくり返らない限り無い」

「・・そこがひっかかってるんだ」

「終わらせないわけがないって事っすか?」

「そうなんだ・・・」

「何処かで団子でも食べてて忘れでるんじゃないっすか」

「三郎だったらあり得るけど・・・」

「うーん・・・」

口は動かせども手は休めず、いつもの倍以上に大変に感じる図書整理をしていく

高い位置のきり丸君には無理だから僕が担当する

正直この二人でする仕事量ではないんじゃないかと気が重たくなった

「せんぱ・・・うわ!!」

「え!?きり丸君」

ガタガタっと聞こえて気付きいたときの視界は別の場所だった

いつの間にか図書倉庫に移動している。

さっぱり意味がわからなかった。

「雷蔵」

「え・・」

そして温かな感触。

声と共に振り返ると先程まで話のネタになっていた同級生の鉢屋三郎が居た。

暗闇の中で・・・

「なにしてんの?」

「課題」

「は?どういう事・・・」

「だから、今回の課題は[自分の大切なものを奪う]が課題だったんだよ」

「意味分からないんだけど」

「それを自分で考えるんだろ?」

「そうじゃなくて、何でこんなことになってるの?」

「いま課題中だから」

「・・・実習でそんな課題普通無いだろ」

「実際あったから実行したんだろうが」

「実行って」

「迷わずに俺達はきり丸と言った」

「先輩まで・・」

「でも二人協力制だからお互いにきり丸が居る時ですんなりと奪える時間。

要するにこの時間じゃないと駄目だったわけだ。

あとそれに雷蔵が居たらまずいだろ。」

「は?でも今の隙に先輩はきり丸君の所にいってるだろ?」

「先輩は足止めして来たから大丈夫」

「はぁ・・・・何でもいいけどさ、普通に来ればいいだろ」

「それじゃぁ実習になんないだろ!」

「なんなくていいよ!」

思わず叫ぶ。

いま図書室にはきり丸と長次先輩が居るだろうか・・・

生贄って言葉は不適切かもしれないけれど、なんだかそう思った

でもよかった。長次先輩は図書委員を「忘れてる」わけではなかったんだ

巻きつけられている縄のことなどお構いなしに

これから起こる自分への負担に気づかず別のことを考えてしまった。



「あの、先輩?」

「・・・」

「・・・」

「自分の大切なものだから」

「っ・・・!」







隣から聞こえてきた言葉。

あー・・かっこいいなぁ長次先輩

「何ボケっとしてんの?襲うよ」

「今の聞こえなかったの?きり丸君。きっと今仲在家先輩の腕の中だよ

課題は終了したみたいだね」

「げ!!!」

三郎は大慌てで立ち上がった。

「でもさ、大事なものが逃げたら意味無いんだよね」

「は?」

極上の笑み

気づいていない同級生

さ。少しくらいお礼してもいいだろ?

胸いっぱいに空気を吸い込んで

せーの!

「きり丸君!!!!!!!!奢ってあげるよ!!!!!」

「んまぁじっすか!?」




瞬間に図書倉庫の襖が開き、僕は縄抜けをする




長次先輩には悪いけれど、僕はきり丸君を連れて逃げます。

大人しく二人の課題の手伝いなんてする様な男じゃないよ?僕は。

「行こうか」

「え?せ、せんぱいぃー!?」

「しっかり捕まっててね」

「雷蔵待て!!」

「きり丸っ!」

さて、鬼ごっこの始まり。

この子猫は誰にもあげないよ




























---あとがき---
何となくノリだけで書いてみました。
微妙に連載チックですが・・・

会話が凄く多いのは気のせいじゃないです。久々に会話文が多い話しですね。

それに微妙に鉢雷入ってる気が・・・(え;

本当にこんな駄文で申し訳御座いませんでした!!