心 ごと 躯 ごと













本当は知ってる。

これが仁王の本当の恋じゃない事位。

けど仁王には言わない。

言ってはいけない…

それは仁王の為でも有り俺自身の為でもあるから

「賑やかやのぅ」

街中の騒がしいイルミネーションの街路地を、俺は仁王と歩いた。

夜にお互い予定はない

っとは言っても一応躯を求め合う恋人同士だから

一緒に居るのは、変な事でもなく当たり前ではある。

とにかくだ。一歩前をゆく銀髪の美人と夜の街を俺は歩いていた

周りはこの時間ってだけあってカップルが多い。

要するに夜の程よい時間。

俺の目が自然とそっちに向いているだけかもしれないけどね

何か飲むと?」

周りを見ながら歩いてたら

仁王の綺麗な顔が視界いっぱいに広がった。

心拍数は急激に上がる

急にドアップってのが一番の理由だけど

仁王が美人ってもある

ああ。心臓に悪い

「え?」

いつも上手な仁王は、俺の反応が予想通りだったみたいで喉を鳴らした笑みを作る

それから俺の答えも聞かずにファーストフードに飲み物を買いに行った。

どうして驚かそうとするのかは俺には分からない。

けど、俺を気にしてくれてたって勝手に空想が膨らんで口許がにやける。

何故なら仁王は美人すぎるから。

今だってほら。仁王が通る傍の人たちは皆振り返っている。

好きな人が見られる位綺麗な事は嬉しい。

けどな…

「待たせたのう」

仁王の綺麗な手から、ストローの指してあるカップを渡される

でも受け取らなかった。

変わりにその手首を掴む

小さく強張ったのが分かる

けど嫌だったんだ。

俺の中の小さなわだかまりが俺を動かしている

どうしたんじゃ?」

そのまま仁王を連れて近くの公園に走った。

寒々しいほどに丸裸になっている木々が

痛々しい情緒を醸し出している。

ふと我に返って引っ張られている仁王の手首を離した

実は心臓は飛び出しそうなくらいにヤバイ状態

どんな顔をしているか・・・怖くて仕方が無い

それでも俺は振り返った。

仁王は自分の手を見て笑っている。

カップ二つから溢れた飲み物が仁王の白く綺麗な手を汚していた

「どうしたんじゃ?」

仁王は笑いながら近くのベンチに歩いて行き、中身の零れたカップ二つを置いた

カタンっと音がする。それから振り返る彼は口元に笑み

ほっとした自分がいる

けど、その気持ちのままで、俺の元から離れるなっとは口が裂けてもいえなかった。

冬の寒い風が仁王の髪を揺らす

無意識だから恐い

自然と出ている仁王の雰囲気が俺を狂わす

だから自分から手を伸ばした。

仁王が誰を本当は好きでも

俺がフェイクだとしても

今腕の中の仁王は俺だけのものだと自分自身に言い聞かせて

?」

「仁王が好きだ」

「へぇ」

「仁王」

「寒うなったな。ほれどきんしゃい。

おのれが引っ張ったおかげで手がベタベタなんじゃ」

俺の背中で手がふるふると動く気配。

また、かわされた

俺はいつだって気持にまで触れていない

どんなに仁王を好きでも

どんなに仁王を抱いたとしても

「…」

「仁王」

「…ほら離しんしゃい」

肘で押されて離れると、渋い笑みを浮かべた仁王

視線を下げて目元は良く分からなかった

ただ、一瞬見えた時の瞳

俺の目が間違っていなければ少し涙ぐんでいる気もした。

余計に辛かった

やはり気持には触れていないと実感した

にはかなわんの…でも…まだ時間がたりんよ」

「に…お…」

「まだ…な」

苦笑したまま仁王は水道までゆったりと歩いていった

その後ろ姿にどうしようもない想いが募る

手に触れられない位遠くに居る仁王は余計に俺を煽る

満たされない欲望が憂鬱で胸が痛かった。

力ずくでは心に触れらない。それは切なくて切なくてもどかしい

秘めている満たされることは無い俺の心

何をしてもお手上げで苦しい

仁王の躯ごと心をくださいっと冬の寒さに嘆いた


















--あとがき--
どっちが攻めかわからないテニスより初書き仁王さん。エロカッコイイ方!!
実はジャンルにテニス入ってるんですよ皆さん!!(今更)
しかも初書きっということもあってか意味の分からないキャラになってしまいました。
一番好きなキャラは仁王さんです。ええ。

変換をテニキャラにするとCPになってしまう;;

06.01.08